超音波で昏睡状態に陥った患者の脳の復活に成功(UCLA)
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アメリカ、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者が、新開発の非侵襲的(皮膚の切開等の手術などを行わず生体を傷つけないような方法)超音波技法を用いて、昏睡状態にあった患者の脳を復活させたそうだ。
新技術、低強度集中超音波振動法
この25歳の患者は交通事故によって外傷性脳損傷を負っていた。最初の週は生命を維持し、症状が悪化しないよう処置された。二週目に入ると、回復の兆しが見え始める。
「興味深い瞬間です。昏睡から目覚めようとしますが、本当に認知機能を回復しているかどうかはわからないからです」と研究を率いたマーティン・モンティ氏。そして、この瞬間こそ、介入する絶好のチャンスであった。
モンティ氏の同僚は低強度集中超音波振動(low-intensity focused ultrasound pulsation)という新しい技法を開発していた。
従来の超音波は音のビームを広範囲に拡散させて、その反射を捉えて映像を作り出す(子宮内の胎児の撮影など)。しかし、新型は音波というエネルギーを狭い範囲に集中させた”球”を作り出す。この場合、脳内の狭い範囲を標的にするため、映像として跳ね返ってくることはない。これを昏睡状態にある患者を覚醒させるために利用できるのではないかと考えたのがモンティ氏だ。
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低強度集中超音波振動を利用して脳にエネルギーを注入する。特に脳の深い部分にある視床にエネルギーを送り込む。
一組の小さい卵状の構造でなる視床は、世界から脳にもたらされる一切の情報が経由する領域であり、一種の放送局である。皮質と視床は謎めいた会話らしきことを行うが、これは意識のある状態でしか行うことができない複雑な行為と関係がある。
治療当時、患者はわずかだが意識がある兆候を示していた。目で動きを追い、手を伸ばそうとすることもあった。もちろん、通常の人のようにはっきりと意識があったわけではない。その患者の側頭部に装置を取り付け、10分間にわたって1セット30秒の刺激を10回繰り返した。
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昏睡状態だった患者がついに目覚める
この治療後、患者は目で動きを追い、手を伸ばそうとするだけでなく、スプーンを使おうとし、さらに物の認識や区別ができるようになった。ほかにも声を出そうとしたり、瞬きで返事をするようにもなった。
治療から3日後、患者は自分に話しかけられた言葉を完全に理解していることを示し、周囲の状況についてもきちんと把握するようになった。質問に対してうなずいたり、かぶりを振って返事をしたり、医師にグータッチを求めたりもした。
5日後、患者の父親が彼が歩こうとしていることを報告。6か月の診断では歩行も会話も可能となった。この時点で80パーセントは回復したと本人は話しているという。
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刺激と覚醒の関連性に課題
非常に有望な実験ではあるが、大きな疑問も残る。それは放っておいても自然に昏睡状態から目覚める日にたまたま刺激を与えていたのではないかということだ。
つまり、刺激にはまったく意味がなく、研究チームが患者にただ歌いかけただけでも、まったく同じ結果を得られていた可能性も大いに考えられるのだ。超音波が本当に回復を早めたのかどうかは、今後実験を繰り返してみなければわからない。
さらに、この治療が完全に植物状態にある患者に対して効果を発揮するものかもわからない。今回の患者にはもとから最低限の意識があったわけで、意識不明の状態から意識状態に戻ってきたわけではないのだ。
こうした疑問点はあるが、モンティ氏は開発された方法が将来的にきちんと医療の現場で用いられ、外傷性脳損傷の治療に新分野を切り開くようになる日を夢見ている。
現時点では、多くの脳の問題が、脳深部刺激療法のような侵襲的(生体を傷つける)な外科手術を必要とする。超音波法がその代替治療の第一歩になるかもしれないとモンティ氏は期待している。
via:ucla・brainstimjrnl・montilabなど、/ translated hiroching / edited by parumo
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