本田外しの決断、精神的支柱…侍ジャパンがサッカー日本代表に学ぶべきこと (2/2ページ)
■澤穂希の強烈なリーダーシップ
女子サッカー日本代表のキャプテンを長らく務め、2015年に引退した澤穂希という選手がいる。ワールドカップに6度出場した「生けるレジェンド」だ。野球でいえば、すでに引退していることを含めて山本昌(元中日)のようなイメージである。
澤は試合中、チームメートに「苦しくなったら私の背中を見なさい」と声をかけ、気持ちを切らさないようにチームを鼓舞し続けていた。どんなに劣勢になってもこのような言葉をかけられる強烈なリーダーシップを持った選手が侍ジャパンにいるだろうか。
前回の招集まではキャプテンが選出されていたが、今回の強化試合ではキャプテンが置かれなかった。代表メンバー選出の会見で小久保監督は「キャプテンは置かない。常連メンバーたちなので役割はわかっている。嶋基宏(楽天)、内川聖一(ソフトバンク)が引っ張ってくれるだろう」と話している。
キャプテン制を敷かないのであれば、キャプテンという名目がなくとも背中で引っ張ることのできる選手が必要だ。短期決戦ではチームの状態が悪いと、一気に流れを相手に持っていかれてしまうリスクがある。その悪い流れを断ち切ることができる強烈なリーダーシップを発揮する選手は選出されるだろうか。
侍ジャパンよりも長い歴史を持っているサッカー日本代表チームに学ぶべきことはまだまだある。侍ジャパンもサッカー日本代表チームも日の丸のユニフォームに身をまとい、国を背負って戦っていることには違いない。競技の壁を超えて野球、サッカー両日本代表の健闘を祈る。
文=勝田 聡(かつた さとし)