思いがけない方法で効率を倍増する新型の家庭用太陽光パネル (2/3ページ)
■ 太陽の動きに追従
ただ、この会社の技術はそれだけではない。もうひとつは、同社が特許をとった入射角によらず光を100%とらえることができる技術『マイクロトラッキングシステム』だ。インジェクション成形で作られた透明なプレートは、ミリメーターレベルのレンズの列を備えている。そして太陽の位置に合わせてそのプレートが動くことで、最大限の光を取り込むことができるのだ。
これらはけっして大がかりな装置ではなく、従来のソーラーパネルと同様に設置することができる。この装置の仕組みや動きは、下の動画で見ていただくとわかりやすい。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=PLA7IKv7Ehg]
類似したシステムは世界各地で考案されているものの、このスタートアップ企業が開発したシステムは、すぐにでも市場に投入できるレベルのものであることが特徴だという。同社のCTOであるMathieu Sckermann氏は、「すべての部品は簡単に大量生産できるように最初から設計されています」という。
同社の設立者たちは、彼らのソーラーパネルが電力あたりの料金を下げることを確信している。システム自体は、既存の太陽光パネルよりも少し高価になるかもしれないが、「得られる電気の量が増えるので、すぐに帳消しにできるでしょう」と同社のCOOであるFlorian Gerlich氏は話す。
さらに「太陽光パネルの価格は近年急速に下がっていますが、まだ競争力のあるコストで電力を生み出すレベルには達していません。2015年のアメリカの例では、住宅用の太陽光パネルそのものは、取り付けのためにかかる費用の総額の20%以下です。もし太陽光パネルが無料だったとしても、これでは必ず費用のもとがとれるとはいえません。現在、太陽光発電業者のおもな利ざやは補助金ですが、それも減少傾向にあります」ともいっている。
同社では、発電効率を上げ、取り付けを容易にすることで太陽光発電システムを化石エネルギーに対抗できうるものにしたいと願っているという。