【天然痘の脅威】根絶されてなお恐れられる最悪の感染症とは? (3/4ページ)
それまでも天然痘患者の膿疱から取った膿で軽度の感染を起こし、免疫を獲得させるという方法があったのですが、一部の人がそのまま亡くなってしまうなど安全性に問題が残っていました。
エドワード氏が開発したワクチンは従来の方法より極めて安全に免疫を獲得できるため、瞬く間に世界中で使用されるようになり、同時に天然痘患者は急激に減少していきました。
ただ、このワクチンでも稀に副作用として脳炎を誘発することがあり、もし脳炎を発症してしまった場合には高率で死に至ってしまうなどの弱点も存在しました。
そのため、流行地域の人々に手当たり次第にワクチンを接種させるという手段を取ることはできませんでした。
しかし、1958年にWHOが「世界天然痘根絶決議」を発したことで人類に二度目の転機が訪れることになります。
WHOはインドなど当時の天然痘流行地域において、新たに発生した天然痘患者に1カ月以内に接触した人全員にワクチンを接種し、また綿密な計画の下に感染の広がりを抑止する対抗策を実施しました。
その結果、インドにおける天然痘患者は劇的な減少を見せ、また他の流行地域もインドに追随したためWHOは1980年、遂に天然痘の地球からの根絶を宣言するに至ります。
これは人に感染する感染症を人類が根絶した唯一の例であり、20世紀における医学界の最大の勝利とも言われています。この経験が今後のさらなる感染症根絶に繋がるように、知見を蓄えておくことが大切になるでしょう 現在の天然痘 〜根絶のその後〜人類は20世紀に長らく苦しめられ続けた天然痘を根絶しました。しかし、それはあくまで自然界での話であり、実際には研究対象としてアメリカの研究施設などでウイルス株が保管されています。
何らかの原因による天然痘の再流行でワクチンが必要になる可能性、今後発生する新種のウイルス対策に天然痘のウイルスが有効である可能性などがあるためです。
しかし、天然痘ウイルスの保管はバイオテロに利用されかねないとの懸念や事故により漏洩を危惧する声もあります。