乳がんが肺転移した場合のステージは?起こる症状と気になる生存率
乳がんはいろいろなところに転移してしまいがちですが、中でも肺へ転移した場合は胸が苦しくなり、生活することすらままならなくなってしまうことも。
今回は肺転移した場合の症状や治療法について説明していきます。
要チェック項目
□肺転移している場合はステージ4
□初期症状は風邪に似ているが、だんだんと激しい痛みや呼吸困難が出てくることも
□治療法は抗がん剤や抗ホルモン剤などで行う 乳がんの肺転移とは乳がんが肺へと転移してしまっている場合、いわゆるステージ4と呼ばれる段階に入ってしまっています。もともと乳がん自体も様々な場所に転移しやすいのですが、中でも肺に転移することは非常に多いです。
本来がん細胞は血液の流れに乗りながら転移していきますので、体内の中でも多量の毛細血管が張り巡らされている肺は比較的転移しやすい箇所となります。
とはいえ、がん細胞のほとんどは転移中に死滅してしまうため、最初の手術を早い段階で行っておけば、多少のがん細胞が残っていても転移の心配は低くなります。そのため、早期発見は非常に重要になりますね。 肺転移した乳がんはまず風邪のような症状が出る 初期症状は風邪に似ている
乳がんが肺へ転移すると、まずは普段の風邪と同じように咳が出たり声が枯れたり、息苦しさが出てくるようになります。
これが肺転移の一歩目の症状となるわけですが、あまりにも風邪と似ているため、この時点では乳がんと自覚できないことがほとんど。
多くの場合は症状が次のステップに進んでから、肺転移していることに気が付きます。
激しい咳や痰がでる
さらに症状が進行していくと、咳が止まらなくなったり、粘着性の痰や血が混じった痰がでてきたり、普段の風邪以上に苦しい状態が続きます、ここでようやく乳がんが肺に転移していると判明することが多いです。
胸に激しい痛みが生じる
これらに加えて胸に激しい痛みが出ている時は、肺転移の可能性がかなり高まります。
特に呼吸困難なほどに痛みが出ている時は、胸水が溜まっているかもしれません。早めの処置が必要なので、必ず医療機関に相談しましょう。 乳がんが肺転移すると胸水が溜まる!? さて、ここで胸水について少し詳しく説明しておきましょう。胸水とは名前の通り胸(肺)に溜まる水です。肺の中でも特に「胸膜」というところにがん細胞が転移してしまうことで発生します。
胸膜とは肺と胸の内側を覆っている膜のことなのですが、ここでは健康な時でも常に数mlほどの胸水が存在しています。
この胸水には潤滑油のような働きがあり、呼吸をして肺が膨らんでも肺と胸がこすれ合うことなくスムーズな呼吸を可能にしているのです。
ですががん細胞などによって肺の一部が押しつぶされてしまうと、いつも以上に水が溜まってしまい「胸水貯留」という状態になってしまいます。
そうすると息切れが起こりやすくなったり、みぞおちや背中に激しい痛みが生じることも。
ひどい場合は呼吸困難に陥ることもあるため、胸水が溜まっている場合はすぐ病院へ行きましょう。
病院ではドレーンというチューブを使い、この胸水を数回に分けて外へと出していきます(一度に多量の胸水を抜くと、ショック症状や命に係わる呼吸困難を引き起こしてしまう可能性がある)。
ちなみにこの状態でレントゲンを撮ると、肺の部分が真っ白に写るので、胸水が溜まっているかどうかは簡単に診察できます。 肺転移した乳がんは抗がん剤治療が行われるステージ4に進行してしまったがんは完治させることがほぼ不可能です。そのため、治療といっても症状をやわらげて、患者さんがよりよい生活を送ること(Quality of Lifeの向上)が主な目的となっています。
乳がんが肺に転移した場合に行われるのは、化学療法(抗がん剤治療)ですね。
現在の治療法では複数の抗がん剤を同時に使うことはせず、何種類かの抗がん剤を1つずつ順番に処方していき、最も患者の体に合ったものをそのまま使い続けてもらいます。
例えば、最も代表的な抗がん剤として「アントラサイクリン系抗がん剤」というものがあるのですが、これは高い腫瘍縮小効果があり、多くの病院で第1候補として処方されます。
しかしこの薬がもし効果を示さなければ、今度は「タキサン系抗がん剤」が処方されます。そしてそれも合わなければまた別の薬…というように、薬を順番に使っていって患者の体に合った薬を見つけていくのです。 乳がんの細胞がホルモン受容体を持っていればホルモン治療もまた条件付きですが、ホルモン治療の方が優先的に行われる場合もあります。
もともと乳がんの細胞はエストロゲンという女性ホルモンの影響で繁殖するのですが、そこで体内のエストロゲンの量を減らしたり、エストロゲンの働きを抑えてしまうことで、がんの増殖を防ぐのがホルモン治療です。
ここで重要な役割を担っているのがホルモン受容体です。ホルモンとホルモン受容体は密接な関係にあり、この2つが結合することで初めてホルモンはその力を発揮することができます。
ところが乳がんのがん細胞にもこのホルモン受容体が含まれており、エストロゲンが多いほどがん細胞も活発になってしまうのです。
そこでホルモン治療ではこのホルモンとホルモン受容体の結合をブロックする抗ホルモン剤を投与します。
エストロゲンが受容体と結合して力を発揮できなくすれば、それだけがん細胞の働きも抑え込むことができるからですね。
ですが、そのためにはがん細胞がホルモン受容体を持っている必要があります。
もしそうじゃなかった場合、この抗ホルモン剤を注射してもがん細胞を抑えることができず、副作用ばかりが出てしまうのみです。
そのため、まずは検査をしてホルモン受容体が陽性反応を示しているかを確認しなければなりません。
ホルモン治療に使われる薬には下記の2種類が代表的ですね。
抗エストロゲン剤
先ほど紹介したエストロゲンが受容体と結合するのをブロックする薬です。「ノルバデックス」や「フェアストン」といった薬があります。
がん細胞が受容体をたくさん持っているほど効果が高くなり、抗がん剤よりもこちらが優先して投与されることもあります。
アロマターゼ阻害薬
また患者さんが閉経している場合には「アロマシン」という薬を使用します。
エストロゲンは閉経前は主に卵巣で作られるののですが、閉経後に卵巣機能が低下すると、代わりに副腎からアンドロゲンという男性ホルモンが分泌されます。
そしてそれが脂肪組織などに存在しているアロマターゼという酵素の働きによって、エストロゲンに変換されてしまうのです。そのため、そのアロマターゼをの働きを阻害することで、エストロゲンの分泌を防ぎます。 肺転移した乳がんは苦しいことも多い...乳がんが肺転移してしまうと、ステージ4ということもあってかなかなか完治させるのは難しくなります。
さらに肺は呼吸にとって非常に重要な箇所なので、ここにがんが転移すると息が苦しくなることも多いでしょう。
ですがしっかりと治療をすれば、そういった苦しさは必ず改善するはずです。
苦しいことが多いからこそ、しっかりと治療をして前向きに生きていきましょう。
(監修:Doctors Me 医師)
今回は肺転移した場合の症状や治療法について説明していきます。
要チェック項目
□肺転移している場合はステージ4
□初期症状は風邪に似ているが、だんだんと激しい痛みや呼吸困難が出てくることも
□治療法は抗がん剤や抗ホルモン剤などで行う 乳がんの肺転移とは乳がんが肺へと転移してしまっている場合、いわゆるステージ4と呼ばれる段階に入ってしまっています。もともと乳がん自体も様々な場所に転移しやすいのですが、中でも肺に転移することは非常に多いです。
本来がん細胞は血液の流れに乗りながら転移していきますので、体内の中でも多量の毛細血管が張り巡らされている肺は比較的転移しやすい箇所となります。
とはいえ、がん細胞のほとんどは転移中に死滅してしまうため、最初の手術を早い段階で行っておけば、多少のがん細胞が残っていても転移の心配は低くなります。そのため、早期発見は非常に重要になりますね。 肺転移した乳がんはまず風邪のような症状が出る 初期症状は風邪に似ている
乳がんが肺へ転移すると、まずは普段の風邪と同じように咳が出たり声が枯れたり、息苦しさが出てくるようになります。
これが肺転移の一歩目の症状となるわけですが、あまりにも風邪と似ているため、この時点では乳がんと自覚できないことがほとんど。
多くの場合は症状が次のステップに進んでから、肺転移していることに気が付きます。
激しい咳や痰がでる
さらに症状が進行していくと、咳が止まらなくなったり、粘着性の痰や血が混じった痰がでてきたり、普段の風邪以上に苦しい状態が続きます、ここでようやく乳がんが肺に転移していると判明することが多いです。
胸に激しい痛みが生じる
これらに加えて胸に激しい痛みが出ている時は、肺転移の可能性がかなり高まります。
特に呼吸困難なほどに痛みが出ている時は、胸水が溜まっているかもしれません。早めの処置が必要なので、必ず医療機関に相談しましょう。 乳がんが肺転移すると胸水が溜まる!? さて、ここで胸水について少し詳しく説明しておきましょう。胸水とは名前の通り胸(肺)に溜まる水です。肺の中でも特に「胸膜」というところにがん細胞が転移してしまうことで発生します。
胸膜とは肺と胸の内側を覆っている膜のことなのですが、ここでは健康な時でも常に数mlほどの胸水が存在しています。
この胸水には潤滑油のような働きがあり、呼吸をして肺が膨らんでも肺と胸がこすれ合うことなくスムーズな呼吸を可能にしているのです。
ですががん細胞などによって肺の一部が押しつぶされてしまうと、いつも以上に水が溜まってしまい「胸水貯留」という状態になってしまいます。
そうすると息切れが起こりやすくなったり、みぞおちや背中に激しい痛みが生じることも。
ひどい場合は呼吸困難に陥ることもあるため、胸水が溜まっている場合はすぐ病院へ行きましょう。
病院ではドレーンというチューブを使い、この胸水を数回に分けて外へと出していきます(一度に多量の胸水を抜くと、ショック症状や命に係わる呼吸困難を引き起こしてしまう可能性がある)。
ちなみにこの状態でレントゲンを撮ると、肺の部分が真っ白に写るので、胸水が溜まっているかどうかは簡単に診察できます。 肺転移した乳がんは抗がん剤治療が行われるステージ4に進行してしまったがんは完治させることがほぼ不可能です。そのため、治療といっても症状をやわらげて、患者さんがよりよい生活を送ること(Quality of Lifeの向上)が主な目的となっています。
乳がんが肺に転移した場合に行われるのは、化学療法(抗がん剤治療)ですね。
現在の治療法では複数の抗がん剤を同時に使うことはせず、何種類かの抗がん剤を1つずつ順番に処方していき、最も患者の体に合ったものをそのまま使い続けてもらいます。
例えば、最も代表的な抗がん剤として「アントラサイクリン系抗がん剤」というものがあるのですが、これは高い腫瘍縮小効果があり、多くの病院で第1候補として処方されます。
しかしこの薬がもし効果を示さなければ、今度は「タキサン系抗がん剤」が処方されます。そしてそれも合わなければまた別の薬…というように、薬を順番に使っていって患者の体に合った薬を見つけていくのです。 乳がんの細胞がホルモン受容体を持っていればホルモン治療もまた条件付きですが、ホルモン治療の方が優先的に行われる場合もあります。
もともと乳がんの細胞はエストロゲンという女性ホルモンの影響で繁殖するのですが、そこで体内のエストロゲンの量を減らしたり、エストロゲンの働きを抑えてしまうことで、がんの増殖を防ぐのがホルモン治療です。
ここで重要な役割を担っているのがホルモン受容体です。ホルモンとホルモン受容体は密接な関係にあり、この2つが結合することで初めてホルモンはその力を発揮することができます。
ところが乳がんのがん細胞にもこのホルモン受容体が含まれており、エストロゲンが多いほどがん細胞も活発になってしまうのです。
そこでホルモン治療ではこのホルモンとホルモン受容体の結合をブロックする抗ホルモン剤を投与します。
エストロゲンが受容体と結合して力を発揮できなくすれば、それだけがん細胞の働きも抑え込むことができるからですね。
ですが、そのためにはがん細胞がホルモン受容体を持っている必要があります。
もしそうじゃなかった場合、この抗ホルモン剤を注射してもがん細胞を抑えることができず、副作用ばかりが出てしまうのみです。
そのため、まずは検査をしてホルモン受容体が陽性反応を示しているかを確認しなければなりません。
ホルモン治療に使われる薬には下記の2種類が代表的ですね。
抗エストロゲン剤
先ほど紹介したエストロゲンが受容体と結合するのをブロックする薬です。「ノルバデックス」や「フェアストン」といった薬があります。
がん細胞が受容体をたくさん持っているほど効果が高くなり、抗がん剤よりもこちらが優先して投与されることもあります。
アロマターゼ阻害薬
また患者さんが閉経している場合には「アロマシン」という薬を使用します。
エストロゲンは閉経前は主に卵巣で作られるののですが、閉経後に卵巣機能が低下すると、代わりに副腎からアンドロゲンという男性ホルモンが分泌されます。
そしてそれが脂肪組織などに存在しているアロマターゼという酵素の働きによって、エストロゲンに変換されてしまうのです。そのため、そのアロマターゼをの働きを阻害することで、エストロゲンの分泌を防ぎます。 肺転移した乳がんは苦しいことも多い...乳がんが肺転移してしまうと、ステージ4ということもあってかなかなか完治させるのは難しくなります。
さらに肺は呼吸にとって非常に重要な箇所なので、ここにがんが転移すると息が苦しくなることも多いでしょう。
ですがしっかりと治療をすれば、そういった苦しさは必ず改善するはずです。
苦しいことが多いからこそ、しっかりと治療をして前向きに生きていきましょう。
(監修:Doctors Me 医師)