【プロ野球】金本知憲監督が命がけで獲得したFAの糸井嘉男。来季の「金本阪神」はどうなる? (2/2ページ)
■「守」りからも「挑む」
糸井の加入で、守備面にも大きな変革が起きる。
現在、外野の布陣を見ると、ライトは休息日を除き福留孝介がレギュラーとして不動だ。レフトは今季しっかりと結果を残し、まだまだ伸びしろを感じさせる高山が、来季もほぼ定位置を確保すると言っていいだろう。
ここにセンターに糸井が加われば、外野陣はすべて埋まることとなる。
今季、繰り広げられた外野手争いは安泰となる反面、来季はその争いが内野に移行する。
現に、秋季キャンプでは、中谷将大がサードで、板山祐太郎がセカンドで内野の練習をするなど、内野へのコンバートが積極的に行われている。
北條史也の急成長で、ショートの守備位置争いが混沌としているなか、外野手が数名コンバートされれば、より内野手の競争は激化し、チーム力は格段に上がる。
「守り」からも「挑む」状態ができあがるのだ。
■金本監督の来季の至上命題
糸井の加入について悲観的な意見があるのも事実だ。
若手を育成し、チームを超変革することで強くしていく。「金本阪神」が掲げた初年度のチームスローガンは、こう理解されていたはずだ。
2年目に向かう金本阪神は、チームスローガンを“Tigers Change”として、超変革の余韻を少し残しつつ、FA戦略で補強する策に出た。
このチーム方針の微妙な転換がファンや関係者の間でも賛否両論となっているからだ。
とは言うものの、「育成しながら勝つ」という根本的な精神は、糸井という実力者の加入で、若手選手に好影響を及ぼし、育成につながるという意味で生きていると解釈できる。
ただこれだけは言える。
FA補強に打って出た金本監督にとって、来季の糸井の活躍は、今季、鳥谷敬に期待したリーダーシップ以上に失敗が許されない至上命題となったということだ。
- まろ麻呂
- 企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。