小池百合子 逆境ハネ返し「突破の女王」!!(7)小沢一郎を旗印に掲げる! (2/2ページ)

アサ芸プラス

 だが、その小沢は、これまであくまでも黒子に徹していた。「権力の二重構造である」と小沢をやり玉にあげる声も大きかった。

 小池は思っていた。

〈それならば、小沢さん自身、いま正々堂々と表舞台に立つべきではないか〉

 小池は、沖縄で行われた新進党の大会に小沢と共にゲストとして呼ばれていた際に行動を起こした。

 その夜、小池は小沢の秘書の樋高剛に言った。

「小沢幹事長が党首選に出ればいいと、私は考えています」

 樋高は、ハッとした。

「小池さんも、そう思われますか」

 党内では、小沢が立候補するという議論はまだ出ていなかった。

 樋高は続けた。

「私は今から幹事長の部屋に行きますから、一緒にいらしてください」

 小池は、樋高と共に小沢の部屋を訪れた。3人で沖縄の名物である泡盛を傾けた。

 小池は、小沢の説得にかかった。

「小沢先生は、これまで舞台まわし役ばかりで、陰の人物としての印象が強すぎることは残念だ。この際、堂々と表舞台に立って活躍してほしい。今の新進党、いや日本はあなたを必要としているんです」

 小沢は、始めのうちはそんな言葉に取り合うことなく、ニコニコとして聞いているだけだった。が、あまりにも熱い小池の語り口に、次第に真剣な眼差しを向けてきた。

 その後、小沢擁立の動きは、新進党内で表面化していく。が、小沢は「出馬するつもりはない」と繰り返し表明し続けていた。

 小池は、ついに小沢の事務所に乗りこんだ。

「小沢幹事長の写真を、全部出して!」

 泡を食っている秘書たちに後目に、出された写真の中から、ポスターに最もふさわしい写真を選び出した。小沢が党首選に出ることを決めてから、ポスターを用意したのでは間に合わない。刷る前の色校段階にまで仕上げておけば、いつ小沢が出馬表明をしても印刷できる。このまま出ないのであれば、それは廃棄すればいいだけのことだ。小池は、早め早めに手を打った。

大下英治(作家):1944年、広島県生まれ。政治・経済・芸能と幅広いドキュメント小説をメインに執筆、テレビのコメンテーターとしても活躍中。政治家に関する書籍も数多く手がけており、最新刊は「挑戦 小池百合子伝」(河出書房新社)。

「小池百合子 逆境ハネ返し「突破の女王」!!(7)小沢一郎を旗印に掲げる!」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2016年 12/1号大下英治小池百合子小沢一郎社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る