月9「カインとアベル」山田涼介の説得力ない”お仕事ドラマ路線”で迷走
旧約聖書の兄と弟の悲話を下敷きにしたHey! Say! JUMPの山田涼介(23)の主演月9ドラマ「カインとアベル」(フジテレビ系)。11月28日放送の第7話の平均視聴率は8.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で前週より0.2%下降してしまいました。何が良くて何がよくなかったのか振り返ってみましょう。
第7話は、重要なクライアントへのプレゼンで矢作梓(倉科カナ)のサポートを得ながら無茶をやった高田優(山田涼介)が、ドラマにありがちな主人公補正でなんやかんやうまくいき、その功績を認めた社長(高嶋政伸)から取締役に抜擢される……という急展開でした。今回は全体的にお仕事ドラマだった分、優と梓、高田隆一(桐谷健太)と梓それぞれの関係の変化などについてはそれほど尺を取らなかった印象です。
ただ、お仕事ドラマにしてはありえない展開がちょいちょい見られました。重要なクライアント「ドレイモンド」のCEOがわざわざ来日してプレゼンに臨んでくれたのに、高田総合地所側の交渉担当者は無役の若造2人。そりゃいかんでしょう。案の定CEOに「(それが)ドレイモンドへの意思表示ということだな」と顔を合わせて早々に言われてしまう始末。
重要な交渉に無役の若い社員を2人だけで行かせるという社長の判断には、隆一も異を唱えていました。
「社運のかかった事業ですよ。わたしには納得できません」
さすが、腐っても副社長。まったく正論です。詰め寄られた社長。隆一を納得させることができる理由を何か持っているのかと思いきや、自分も優がこの交渉を成功させるのは難しいと思っていると正直に告白。いやお前も思ってたんかーい。
社長いわく、失敗したら5年10年の高田の成長戦略が崩れる。だがもし成功したら、優はこの会社にとって英雄になるだろう。……うーん、成功した時のメリットが、優がカリスマ性を持つことってこと? 息子にカリスマ性を持たせるために、会社の5年10年をかけた賭けに出たってことでしょうか。いつも冷静沈着に見える社長も、心の中では真田昌幸ばりに「大バクチの始まりじゃー!!!」と叫んでいたのかもしれませんね。社長の中の人、6月頃までは真田と敵対しながら汁かけ飯を食べてましたけどねえ。
ホテルの建設予定地にベッドを設置して、CEOに実際に横になってもらったらプレゼンを納得したというくだりは、わかるようで全然わからないのでスルー(笑)。
ラストシーンは、取締役に抜擢された優が高級車で出社し、隆一とロビーですれ違う場面。隆一に無視された優の顔がこれ以上にない笑顔から「ふーん、そういう態度取るんだ」とでも言いたげな表情に変わり、さらに何事かをたくらむようなダークな表情へと変化していく様は圧巻でした。
次回予告では、優が「兄の結婚式はキャンセルします」と誰かに告げるシーンが流れました。優はますますダークサイドに堕ちていくのでしょうか。ドラマとしてはいいと思いますが、だんだん「カインとアベル」の物語から離れているように思います。聖書の「カインとアベル」は、弟に非はないのに、神様が弟をひいきしていることをねたんだ兄が弟を殺害したという物語。
もしドラマでこのまま優がダークサイドを突き進むと、そりゃ兄に恨まれても仕方ないよってなっちゃいます。優はあくまでもいい人のままでいて、社長や黒沢(竹中直人)、梓など周りの人が優ばかりひいきすることをねたんだ兄が何かやらかしちゃう、というほうが悲劇性がありそうなんだけどなあ。ま、でも、別におもしろければ何でもいいと思います(投げやり)。割り切って、次回どこまで山田涼介が黒い役を演じるのか楽しみに視聴したいと思います。
文・中島千代