民進党は茶番?最近やたらとリンクする「政治」と「プロレス」の関係性

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民進党は茶番?最近やたらとリンクする「政治」と「プロレス」の関係性
民進党は茶番?最近やたらとリンクする「政治」と「プロレス」の関係性

「強行採決なんてのは、ありえない。審議が終わって、邪魔をする人たちがいるだけ。田舎のプロレス(略)、ここでロープに投げたら返ってきて、空手チョップで一回倒れて、みたいな茶番だと思う」

 TPP(環太平洋経済連携協定)審議に臨む野党の姿勢について、萩生田光一・官房副長官(53)が揶揄した発言は思わぬ反響を呼んだ。実際、民進党の空騒ぎは茶番呼ばわりされても仕方なかったが、<プロレス>という単語に過敏に反応した向きが多かったのだ。

 元プロレスラーの馳浩・前文部科学大臣(55)が「俺と闘うか?」と不快感を表明。さらに大のプロレスファンで、『週刊プロレス』(略称・週プロ・ベースボール・マガジン社)誌の表紙を飾ったこともある民進党の野田佳彦幹事長(59)の発言は、

「腹が立った。プロレスを知らないんじゃないか?(略)プロレスは体を鍛えまくった人が、相手の技をしっかり受けることが前提だ」

 と政界の話なんだか、『週プロ』の記事なんだか分からない域に。

 かくして有名・無名を問わず、各界でプロレスに焦点を当てての(萩生田発言の)解釈論争が巻き起こった。が、この傾向は以前からのものだった。

 まずは米国大統領選挙にトランプ氏が勝った際、大量に出回った「トランプの手法はプロレスのヒール(注1)から学んだ」といった類の記事。知っている人には今さらと感じられるだろうが、トランプ氏がかつてプロレスのリングで有名レスラーの技を食らった(注2)動画なども、驚きと共に世界に拡散した。

 そしてキューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長の逝去に対し、最も具体的なコメントを出したのは、何度も面会しているアントニオ猪木参院議員(73・注3)だった。

 ここのところ……激動する激動する国内外の政治の影に、プロレスが付きまとっていたのだ。

■肝心のプロレス界は?

 そもそも大衆の願望や憎悪を刺激して興奮させるのがプロレスだけに、世相を反映しやすい、とは言われてきた。日本では政治との結び付きも密接で、歴代コミッショナーを代々の自民党副総裁が務めたり(注4)、また韓国では朴正煕大統領(注5)が大木金太郎(注6)のタニマチとなっていた。しかし、

「トランプ氏を担ぎ出した世界最大の団体WWEはともかく、日本のプロレスには一時期ほどのパワーは無いですよ」(プロレス団体関係者)

 開祖・力道山、そしてジャイアント馬場(注7)とアントニオ猪木が違うスタイルで花を開かせ、タイガーマスク(注8)が大ブームを呼んだのが1980年代前半まで。その前後にも長州力(64)、ジャンボ鶴田、天龍源一郎(66)、藤波辰爾(62)、前田日明(57)、三沢光晴、武藤敬司(53)ら、スターレスラーは出てきた。

「しかし徐々にパワーダウンしていき、現在は1980年代初頭や1990年代のような観客動員はできていません。よく暴露本(注9)や格闘技の台頭(注10)がプロレス没落の原因とされますが、実はテレビ中継がゴールデンタイムから外れたことが一番、痛かった」(前同)

 いまはオーナーが変わった(注11)新日本プロレスと、一部のインディーズ団体だけがそれなりに盛り上がっている。取り巻く環境も、試合スタイルも変化した。

──プロレス=八百長、茶番。必殺技=空手チョップなどなど、萩生田発言に代表されるイメージは、良きにつけ悪しきにつけ古すぎる。プロレス界は「バカにされた」と憤るより、イメージ刷新に努めるべきだろう。

 そして政治側、とくに「プロレスに失礼!」と青筋を立てた民進党に言いたい。ならば階猛・政調会長代理のように政治活動費(注12)で落とさず、プロレスのチケットくらい自腹で買おうね。

(注1)ヒール…悪玉レスラー。トランプ氏のスピーチは、プロレスで悪玉が善玉レスラーを罵って興行を盛り上げる手法に似ている。
(注2)技を食らった…試合はしなかったトランプ氏だが、試合後の番外戦で ‟ストーンコールド“ スティーブ・オースチンの必殺技、スタナーを食らって大の字にダウンした。
(注3)アントニオ猪木…若者にはダーやビンタのオジサンと思われがちだが、現役時代はカリスマ的なトップレスラーだった。
(注4)自民党副総裁…最後のコミッショナーを務めたのは、二階堂進氏。
(注5)朴正煕…いま追い詰められている朴槿恵大統領の父。
(注6)大木金太郎…本名キム・イル。馬場と猪木と三羽烏と言われたが、常に2人の影に隠れる存在だった。
(注7)ジャイアント馬場…力道山、猪木と並んで、誰もが日本マット史上トップ3に入れるだろうレスラー。だが一時期からの「いい人」扱いはどうかと思う。
(注8)タイガーマスク…現在、四代目までいるが、当然ブームを起こした初代の才能が圧倒的に抜きん出ている。
(注9)暴露本…数々あれど、新日本のレフェリーだったミスター高橋によるものが最も衝撃を呼んだとされる。読むまで気付かないのも、どうかと思うが。
(注10)格闘技…K1やPRIDE。純粋な競技というよりは、プロレスに近い興行イベントだったが。
(注11)オーナーが変わった…新日本プロレスは創業者の猪木が株を売却してから、何度かオーナーが変わった。今のオーナーはカードゲーム会社<ブシロード>の木谷高明社長。
(注12)政治活動費…民進党の階猛(しな・たけし)政調会長代理が、プロレスのチケット代金24,000円分を政治活動費として支出していた。

著者プロフィール

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コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ

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