若者の血が若返りに有効だという研究と新たな輸血ビジネス (2/3ページ)
すると生後12ヶ月の老いたマウスが、生後3ヶ月のマウス並に動き回るようになり、記憶力もめざましく向上したことを示した。
そこで研究チームがマウスの脳を調べたところ、血漿を投与したマウスでは脳の海馬で多くの新しい細胞が発生したことがわかった。
この現象には、若い血液がニューロン新生を促した可能性があるという。
■ まだまだ研究が必要だが…
研究者によれば、これまでにも人間同士の輸血で、若い人から輸血された人に何かしらの恩恵があったという実例があるという。
したがって、今回の結果を人間に当てはめれば、認知症が始まったばかりの患者に効果があるのではないかと考えているようだ。
とはいえ、Alkahest社ではまだ血漿のどの成分が若返り効果をもたらしているのか、あるいは実際に人に応用するにはどのような治療方法が適しているのかなど、まだまだ研究を進める必要があるとしている。
しかし、そのような研究を待たずにビジネスが先行して始まろうとしていた。
■ フライングする輸血ビジネス
Alkahest社は認知症の治療を目的として研究を進めているが、ずばり「若返り」をビジネスにしようという動きは始まっている。
なにしろ「若返り」には、膨大な需要が見込めることは誰にでもわかることだ。
米カリフォルニア州に、Ambrosia社というスタートアップがある。
ここが35歳以上の人を対象に、8000ドル(約80万円)支払えば若者の血液を輸血するというプログラムを計画しているのだ。
プログラムでは、8000ドル支払った35歳以上の人に、16~25歳の若者の血液を、週に1回を4週間輸血するというのだ。
一応、これは臨床試験への参加者募集という触れ込みのようだが、どうしても新手の輸血ビジネスに思えてしまう。
なぜなら、同社からは調査データが開示されていないことや、試験なら存在するはずのプラセボを試す対照グループが存在していないからだ。