金正恩氏が「ぞうきん」と「タバコの銀紙」を集める理由 (2/2ページ)
また金正恩氏は、非武装地帯での地雷爆発事件に端を発した昨年8月の軍事危機の際、韓国との「チキンレース」で一敗地に塗れており、いまだに雪辱をねらっていても不思議ではないのだ。
そして米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮当局が古着集めに血眼になっていた時期と前後して、もうひとつ、当局が集めていたものがあった。「タバコの銀紙」である。
RFAの咸鏡北道(ハムギョンブクト)在住の情報筋によれば、「当局は軍事施設のカモフラージュに使うためだと言っている。壁に銀紙を貼り付けると、人工衛星からの撮影ができなくなるらしい」とのことだ。
では、こちらにはどんな意味があるのか。軍事関係に詳しい人から、次のような説明を受けた。
「偵察衛星の撮影機器には、光学式カメラのほか、合成開口レーダーというものがあります。マイクロ波を大量かつ長時間、対象物に照射し、反射された信号を高性能コンピュータで解析して物体の形状を描き出すもので、天候などに影響されません。
一方、レーダー波を欺瞞する装置に、チャフというものがあります。アルミ箔などを空中に散布することで、レーダー波を乱反射させ、敵戦闘機やレーダー誘導式ミサイルの追尾をかわすもので、軍用機や軍艦に搭載されています。
北朝鮮の『タバコ銀紙』集めは、チャフの原理を応用し、米軍偵察衛星の合成開口レーダーを欺くことを狙っているのではないでしょうか。果たして、それが有効かどうかは疑問ですが、偵察衛星を持たず効果が検証できないながら、北朝鮮としては『やれることを、最大限やっている』のでしょう」
これらの情報は一方で、朝鮮人民軍の窮乏ぶりを伝えるものでもある。
そもそも、朝鮮人民軍を取り巻く環境は劣悪で、末端兵士の間では物資の取り合いなどで殺傷事件も発生。空腹に耐えかねた兵士の中には、中国側に越境して強盗殺人を働くケースも多い。
それに金正恩氏とて、仮に十分な量の雑巾やタバコの銀紙が揃ったところで、通常戦力では米韓連合に勝ち目がないことぐらいわかっているはずだ。だからこそ、一日も早く「核武装した独裁者」となるべく、暴走に暴走を重ねているとも言えるのだ。