貧困層の子どもたちにパソコンを与えることが、教育問題解決となるのか? (3/3ページ)

FUTURUS

おまけに巨人戦とプロレスは共に日本テレビが独占していて、プロレスは野球の試合がない金曜夜8時に放映していたから付け入る隙間などどこにもなかった。ついでに言えば、人々が暇になるであろう日曜日には野球のダブルヘッダーが組まれていた。

庶民階級の子どもたちは、真面目一徹な教育番組など選ばない。視聴するに足るのは王・長嶋の活躍であり、馬場・猪木の勇姿である。それを骨の髄まで思い知ったテレビ朝日は、「教育一本路線」を放棄した途端に日本プロレスに接近した。馬場と猪木の試合がそれぞれ別の局で放映されていた理由は、そこにある。

インターネットも、それとまったく同じだ。子どもたちの「本当に勉強したい」という意思なくして、プログラムは真価を発揮しないのだ。外山氏の言葉を借りれば「人そのもののアップグレード」が必ず求められる。

今現在も、有名政治家が「貧しい子どもたちにモバイル機器を」と無邪気に唱えている。だが、その先にあるものを本当に見据えているのだろうか? 教育に必要なものはまず第一に優秀な教師であり、テクノロジーは彼らを支援するための道具に過ぎない。

そうしたことを考える上でも、『テクノロジーは貧困を救わない』は必見の書である。

【参考】

※ 外山健太郎(2016)『テクノロジーは貧困を救わない』(みすず書房)

「貧困層の子どもたちにパソコンを与えることが、教育問題解決となるのか?」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る