約束は必ず守るという意味の「親の頭に松三本」の語源が死に関連している? (2/2ページ)
故人を埋葬した時点で一本、二回忌の際に一本、そして三回忌の際にもう一本と、合計三本の松を墓に植える習わしが、恐らく火葬できるほど身分が高くない人々の間にあったことが、記録されている。
この墓松は、墓石の建つ墓が非一般的であった、近世に入る前の時代に盛んに植えられた。そのため、墓石が庶民層にも普及し始めた江戸時代には、墓松を植える習慣は、地域や宗教宗派により差はあるが、次第に下火になっていったが、様々な地域の子どもの遊び歌には、墓松は明治頃まで登場した。
■最後に…
このことから判断すると、「親の頭に松が三本生える」というのは、親の死を意味する言葉であった。従って、「親の頭に松三本」という言葉を声に出すのは、親の死期を早める行いとされたため、「不孝」とされたのであった。実際に、よりストレートな言葉遣いで「親墓に松三本」という言い回しも、あったようだ。
なお、中国北部のいわゆる旧満州でも、松を不浄な木として庭木にすることをタブー視し、墓に植える習慣があった。佐渡の「親の頭に松三本」は、この中国北部の習俗が、謎の経緯で佐渡に伝来したものとする説もあるが、信憑性は余り高いとは考えがたい。
参考文献:ものと人間の文化史 松、 境界紀行 近世日本の生活文化と権力より