「認知症治療」の研究は、ここまで進んでいる! (4/5ページ)
「この医師主導治験は、主に患者が限られ、市場に出にくい新薬開発に実施されます。しかし、今回の場合は既存薬の転用で、期待もできる。既存薬の転用なので安全性の治験が省かれる分、うまくいけば製品化は早いでしょうね」(前同)
今の治験は2018年に終了。製品化は早くて22年だという。また、今年3月には大阪市立大学などの研究グループが、結核などの治療薬(抗生物質)に予防効果があるとマウス実験で確認されたと発表。転用タイプは開発期間も短縮できるうえ、コストも低いため、今後も続々と出てきそうだ。
もっとも、前出の牧氏によれば、ゼロからの新薬開発の場合でも有力な効果があるとなれば、介護費、医療費のコストが大幅に抑えられるため、ほどなく保険指定になるという。したがって、庶民でも高額な価格に苦しむことはないのだ。一方、まだ研究は始まったばかりながら、近い将来、さらに有力な「根治薬」と呼ぶにふさわしい新薬が登場する可能性も大いにあるようだ。
「今では認知症は、アミロイドβだけでなく、“タウ”というタンパク質のゴミのようなものが、神経細胞に多く溜まって、初めて発症するようだと分かってきています。このアミロイドβとタウの関係はまだよく分かりませんが、実はタウ除去のほうが重要との見方もあるのです。したがって、今後はタウをターゲットにした新薬候補が多く出てくると思われます」(牧氏)
その点、昨年末、学習院大学の高島明彦教授らが、不整脈などに使う『イソプロテレノール』という薬にタウの凝縮を阻害する働きがあると発表した件は、まだマウス実験の段階ながら大いに注目されている。今後、認知症治療の治験へ進むかもしれない。そうかと思えば、今年、ノーベル賞を受賞した、大隅良典・東京工業大学栄誉教授の「オートファジー」研究の応用に期待するとの声もある。
「オートファジーは、細胞が、不要になったタンパク質を分解して栄養源に再利用する自食作用。