アメリカで生まれたアジア系アメリカ人が直面する目に見えない差別、マイクロアグレッション
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2016年10月、ニューヨークタイムズ紙で記者をしているアジア系アメリカ人のマイケル・ルオは、ある出来事についてツイッターに投稿した。それはニューヨークの街中で顔について非難されたときのことだ。
アッパーイーストサイドで身なりのよい女性が、自分たちが歩いていることに苛立って、「中国へ帰れ……お前らのクソみたいな国に」と叫んできたという。
ルオは女性を追いかけ、自分はこの国で生まれたんだと抗議した。だが顔は明らかに東洋系である。自分がアメリカ生まれのアメリカ育ちだと証明することは難しい。
すぐさま大勢のアジア系アメリカ人がこれについて話題にし始めた。彼らが生まれた国について、人々はどのようなことを言ってきたのだろうか?
■ アジア系アメリカ人がアメリカで受ける洗礼
アメリカというと黒人と白人の構図ばかりがピックアップされるが、アジア系アメリカ人も目に見えない差別、マイクロ・アグレッションを受けている。
ルオのツイートに対する反応のうち、最も心が痛むものの一つは、メイン州ボードウィン大学で撮影された写真だ。
ボードウィン大学のアジア系学生協会と南アジア学生協会は、「#Thisis2016」と題された写真展を開催。これはアジア系アメリカ人に対する偏見と誤解を浮き彫りにすることを狙いとする。
写真展は、ボードウィンカレッジが主催するノーヘイトノーベンバーという、キャンパス内の人種と多様性について話し合うことを奨励する月間プログラムの一環として行われた。
学生は、アメリカでアジア人として生きるとき、あらゆる経験が違って見えるということが写真から伝わればと願う。また参加者が経験した様々な出来事もシェアしたいと考えている。
「写真展から帰って行って欲しいのは、生産的な会話と、『なぜこれが傷つけるのか?』と自らに問いかけることです」とアジア系学生協会会長のミツキ・ニシモト氏は話す。
この写真展では、48名の学生が、アジア系アメリカ人に関するよくある誤解と偏見へ向けたメッセージを掲げた写真が展示されている。
※コメント欄で勘違いした投稿が多くみられるが、彼らはアジア系だが生まれも育ちもアメリカでアメリカ人なのである。なのでアメリカ人としてのアイデンティティを持っているのだ。アジア国籍を持ってアメリカに留学したり就労している英語に通達したアジア人ではないということを前提で見ていただきたい。・アジアといってもいろいろある
学生の出身地は、中国、南インド、パキスタン、ベトナムなどだ。ボードウィンカレッジ、アジア系学生協会のフェイスブックで公開されると、85,000回以上シェアされ、3,000人からの「いいね」が寄せられた。
”アジア系”という言葉は、みんなを一緒くたにまとめるために利用されています。多くの人が東アジア系を思い浮かべても、他のアジア大陸については忘れています……アジア人には共通点も多くありますが、違いも相当にあるということを理解することが大切ですニシモト氏はこう語る。
アジア系アメリカ人の学生が言われた、彼らの人種をネタにした冗談についても触れている。
冗談はユーモアがあって、屈託のないものかもしれませんが、それでも重みがあります。あなたが「デンタルフロスで目隠しできる」と言えば、それは目が細いという自分ではどうすることもできない生まれ持った体の構造に触れています。非アジア系の人にはこんなこと言わないでしょうアジア系学生協会副会長のケビン・マ氏は、自身はそう言われても気にしないと話すが、違う受け止め方をするアジア系アメリカ人だっているという。 以下の写真では学生が実体験をシェアしている。
(1)「お前たちアジア人が食べるような変な物はここでは売ってないよ」――ボストンのレストランで
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(2)「有色人種なの? アジア人に見えない……」
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(3)「アジア人とはデートしないわ」
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(4)ドアマンへ「配達に来たんじゃないって。これは僕のお昼だよ」
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(5)名前を聞いて笑わないでくれ
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(6)「アジア人にしちゃ大きな目をしてるね」
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(7)見知らぬ白人が家族に近寄って来て、お辞儀して「コンニチワ」。
俺は日本人じゃないよ
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(8)僕は中東出身じゃない
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9)「うん、典型的なアジア人だね」――大学のカウンセラー
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(10)「メルシーボークー!」――名札を見て僕がベトナム出身と思った顧客
「いや、フランス語なんて分からないから」
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(11)「君の家族はみんな英語苦手なんだろうね」――文学の講師
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(12)野球でピッチャーをやっていたとき、間違ってデッドボールやっちゃったんだ。バッターは中指を立てて、こう言った。「ファックユー、ジャップ」
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(13)デンタルフロスは目隠しにならないよ……冗談だろ?
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(14)こんにちは(Hello)って言ってるんだ。コンニチハ(Herro)じゃなくて
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(15)”アジア語”なんて話せないわ
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(16)今中国はどう? 知るか! 私は韓国系アメリカ人、行ったこともない
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(17)両親から勉強を強いられたことなんてないわ
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(18)「ひげヤバいな」(過激派のテロリストみたいという意味にとれる)
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(19)「中国人って、2人目の子供は殺すのかい?」
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写真シリーズは、彼らが言われたことをただ示しているだけではない。我々の言葉の影響力についても注意を向けさせる。
人々は自分たちが否定的な意味合いで使っていない人種差別的な言葉を聞くと、『そんなつもりはない。私は人種差別主義者じゃない』と考えます。でもその言葉やそれが実際に意味していることを再定義し、考え直す必要があります。傷つけるつもりなんてない発言も中にはあるのでしょうが、そうした人は人種差別に鈍感なんですとニシモト氏。
学生の狙いは、写真を見た人にアジア系アメリカ人のコミュニティに対する共感を持ってもらうことだ。日本にだけにいたら決して感じることはないだろうが、海外に出ると多かれ少なかれ「これってあれ?もしかして・・・」と感じた経験を持つ人はいると思う。
逆に日本国内ても、知らず知らずのうちに海外人を傷つけている場合だってあるのだ。どこまでが許されるのは信頼関係とその人の感受性にもよるので難しいところだが、自分は本当に偏見で見ていないか?一度振り返って考える必要はありそうだ。
via:nytimes・upworthyなど/ translated hiroching / edited by parumo
追記:(2020/07/16)本文を一部訂正して再送します。
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