イタリア・ローマにあるカタコンベができたその背景と墓内に描かれた壁画 (2/4ページ)

心に残る家族葬



しかもカタコンベ内には、遺体が安置された壁から離れたところに設けられた部屋があった。そこで故人の遺族や知己の者たちが、ユダヤ教や、帝国内に浸透していた、さまざまな多神教の影響から、葬礼会食を行っていたという。

このようなカタコンベで忘れてはならないことは、3世紀半ばから始まったとされる、墓内の壁に描かれたキリスト教にまつわる図像の存在である。本来キリスト教は、いかなる偶像崇拝も、旧約聖書のモーセの十戒に則り、禁じている。それにもかかわらず、ローマのキリスト教徒は、キリスト教にまつわる絵で墓所内を彩ることを好んだ。その慣習は、西欧諸国のローマ・カトリック教会に多く見られる、豪華絢爛なキリスト教美術へと継承されていくことになる。

■善き牧者とベールを被った婦人


カタコンベの壁に描かれたモチーフの代表的なものとして、「善き牧者」と「オランス」と呼ばれる、両腕を差し出し、祈りの姿勢を取った「ベールをかぶった婦人」の2つが挙げられる。「善き牧者」とは、新約聖書に登場するイエス・キリストの言葉、「わたしは良い羊飼いである。良い羊飼いは羊のために命を捨てる」や、ルカによる福音書の、1匹の迷える子羊を見つけ出すまで探すという譬え話を典拠としたものである。もう一方の「オランス」は、イエスの母・マリア、または故人や著名な殉教者がモデルになったもので、天国における死者の永遠の浄福を意味しているという。

これらの絵は、暗くじめじめした地下の墓所、または迫害時代の暗鬱な空気を反映しているものではない。当時のキリスト教徒の信仰態度が、イエス・キリストの再臨を待つこと、そして天国における永遠の命を願うものであったことから、希望と明朗さに満ちているからだ。また、絵そのものも、美的、または精緻とは言えない筆致である。それは、墓所の壁を彩った職人たちは、必ずしも自身のキリスト教への理解や信仰によらず、顧客の奉じる宗教に臨機応変に対応できる、パターン化された絵柄を描いていたためであると考えられている。
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