イタリア・ローマにあるカタコンベができたその背景と墓内に描かれた壁画 (3/4ページ)
例えば「善き牧者」であれば、ギリシャ・ローマ神話の「牡牛を担ぐヘルメス」のような、楽園の牧歌的なイメージ、「ベールをかぶった婦人」であれば、死者の生前の姿に転用することが可能だったからである。
■最後に…
日本に住み、キリスト教徒ではないならば、我々はルネサンス期のミケランジェロ、ラファエロ、ダ・ヴィンチなどの大家の絵を通して、キリスト教世界を思い浮かべることになる。彼らが描いた重厚で壮麗なイメージだけが、キリスト教を表象するとは限らない。
およそ1700年前に描かれた、名もなき職人による絵もまた、我々がキリスト教を知る手がかりとなる。従って、カタコンベに残された素朴な絵の数々は、キリスト教のみならず、我々の心に長年こびりついてきたさまざまな事物に対する固定観念を大きく揺るがし、新たな視野を広げる力に満ちあふれていると言えるだろう。