アサヒ芸能「スクープ大事件史」Vol.7(3)連続暴行殺人鬼・大久保清の手口と大言壮語 (2/2ページ)
大久保 覚悟していた。特別の感動はなかった。べつになんともなかったヨ。その晩だってよく眠れたしね……。社会は死刑にしなきゃならないだろうし、オレ自身も死に値すると思っている。
──遺族は「1度でもいいから謝罪してほしかった」といっているが……。
大久保 深く申しわけないと感じている。だからこそ、犯行の事実を率直に認めているんだ。しかし、国家権力が設定した裁判は、オレを死刑にする儀式じゃないか。そんな場所で頭を下げれば、権力に屈服したことになるから謝罪しなかっただけなんだ。(中略)
──裁判長も「多少の疑問は残る」とのべているように、犯行の動機が明確になっていないのだが……。
大久保 女への恨みが爆発したんだ。前のとき、女のうそっぱちを支持したのは警察や裁判所だ。おかげで3度も女にだまされて刑務所へいれられた。だからオレは人間じゃなくなっちゃったんだ。凶獣になったんだよ。極限に追いつめられたこの心は、オレ自身にしかわからねえ。(中略)
──控訴はしないつもりと聞いているが。
大久保 控訴のつもりはない。長生きしたくないんだよ。死にたい。そうすりゃこの苦悶からぬけ出せるし、遺族へのわびにもなるだろう。……〉
そううそぶいた大久保の死刑は76年1月22日に執行された。ところがその当日、「死刑執行」を知らされた大久保は腰を抜かし、歩くことができず、係官に両脇を抱えられて死刑台に向かったと伝えられている。