金正恩氏が忘れられない「東京ディズニーランド」の思い出 (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

実は正恩氏は91年に兄の正哲(ジョンチョル)氏とみられる男性とともに南米の偽造旅券で訪日し、東京ディズニーランドを訪問したとされているのだ。正恩氏は東京ディズニーランドで体験した楽しい思い出を忘れられないのだろう。

ただし、ここで1つ問題が出てくる。果たして「北朝鮮はミッキーマウスなどの使用許可を得ているのか」という問題だ。ディズニー社は自社のキャラクターの使用に関しては極めて厳しい姿勢を取ることで知られているからだ。韓国メディアによると、ディズニー社は「北朝鮮でミッキーマウスをはじめとするキャラクターの使用許可を要求されたことがない」と述べているという。つまり著作権などを無視した国家ぐるみの無断使用だ。

今回の公演に限らず、北朝鮮のあちこちでミッキーマウスなどのディズニーアニメキャラを見かけることは決して珍しくはない。それどころか、8月に韓国に亡命したことが明らかになった元駐英公使のテ・ヨンホ氏の子息は日本のアニメに親しんでいたというぐらい米韓や外国文化は北朝鮮社会に浸透しているのだ。

そこで1つ提案したい。北朝鮮当局に対して、たとえば核査察ではなくいっそのことディズニー社も巻き込んで文化著作権査察のようなものを進めたらどうだろうか。この過程で、金正恩体制の人権弾圧ともいえる文化統制と、海外文化に対する欺まん的な施策をあぶり出せる。そして、一般庶民が公に海外の娯楽文化を楽しめる環境をつくるのだ。

また突拍子もない提案だが、今日本でも話題の「この世界の片隅に」を北朝鮮で上映するものいいかもしれない。物資が不足し統制が強まる第二次世界大戦中の日本で、けなげにささやかな生活を送るヒロインや周囲の庶民の姿に、北朝鮮の多くの人々が自分たちの境遇と重ね合わせて涙するに違いない。政治ではなくカルチャーによる「宥和政策」なら北朝鮮庶民も周辺国も大歓迎だろう。

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