進撃の巨人、カリビアンコム、龍角散から見るリテラシー問題|やまもといちろうコラム (2/2ページ)

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■ビッグワードの重み

 同じく、ビッグワード問題で言うならば、ネット界隈のリテラシーを揺らしに揺らしているアダルトサイト大手「カリビアンドットコムが警視庁に摘発」という第一報が駆け巡りました。さすがに報道はタイトルを修正するわけですが、実際にはこれは誤報であって、あくまでカリビアンコム「が」摘発ではなく、カリビアンコム「に」映像を提供していたアダルトビデオ制作会社「が」摘発という話ですから「そうですか… 解散」という感じになるのであります。

 もちろん、背景には昨今話題になっているアダルトビデオへの女性の出演強要問題があり、その前後には日本のアダルト配信大手FC2や元DMM系のCA(アウトビジョン、旧・北都、現・WILL)のあれこれもあったため、ちょうど空気が乾燥しているところにタバコの火でも落ちたかと思って、みんな「すわ」と思ったわけですよ。それでも、どこぞのやり手の事業家や弁護士が放り込んだネタが、かくも摘発にあっさり結びついてしまうようであれば、やはりいろんな思惑が跋扈する世界なのだなあと感じます。

 さらには、アスリート向けの禁止薬物の新リストが発表される中で、新たな禁止薬物に漢方方面の薬剤の一つ「南天」が含む成分が入ったということで、少し話題になったりしました。ところが、その後Twitter上で某アスリートが「龍角散のど飴が禁止薬物に」という発言をしたため、瞬く間に龍角散シンパが衝撃を受けて拡散。結果的にこれは誤報であり、南天の有効成分を含まない龍角散は現時点では無罪なのですが、一気に龍角散がドーピングで黒という話になってしまったわけです。

 当然、龍角散も公式にこの噂を否定するわけなんですが、いまなおこの話題はずるずると燻っております。いかに龍角散のど飴のファンが多かったかが分かりますし、私個人も地味に愛用しておることも考えると「えっ、龍角散が危険薬物!?」みたいなビッグワードの重みを強く深く感じてしまいます。

「進撃の巨人」といい「カリビアンコム」といい「龍角散」といい、この手のビッグワードと次いで出てくる「進撃の巨人と妻殺害」とか「カリビアンコムが摘発」とか「龍角散がドーピング薬物」といった耳目を惹きまくる組み合わせが、毎回のようにネット民のニュースに対するリテラシーを試してやみません。結果的にガセネタで良かったね、となる話ばかりではないので、この辺は振り回されないような冷静さを持っていたいものです。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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