キャリア官僚を自殺未遂に導いた「凡ミス」とは (2/2ページ)

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しかし、妄想にとらわれた彼は「あまりに重大なことだと思って、とても人に話せなかった」と語るほど周りが見えない状態になっており、誰かに相談することもできなかったという。

激務に加え、眠ろうと横になっても、また数字をまちがえて国民や政治家から罵倒される悪夢に飛び起きるという生活で、恵一郎さんの精神面は着実に削られていった。そして、ある週末にレンタカーを借りて遠出した彼は、大河のほとりに遺書をおいて、入水自殺を図ったのである。

幸い、無事に救助された恵一郎さんは、精神科を受診。うつ病と診断されたが、医師に対しても、「わたしは、職場だけでなく、日本の行政にまで、はかりしれないダメージを与えてしまった」と語ったという。

この例を読んで、「まさか自分がこんなことになるはずがない」と思った人もいるかもしれない。しかし、メンタルのバランスは、ある日突然崩れるものではなく、長い時間かけて徐々に崩れていくもの。そして、病院にかかる頃には、「誰が見てもおかしいのに、本人だけがわかっていない」状態ができあがる。

何かとストレスの多い現代で、メンタル不調に悩まされないためには、「自分は大丈夫」「ウチの親に限ってそんなことはない」と思わず、自分や家族のちょっとした変化に気づくことが大事。本書はその役に立ってくれるはずだ。

(新刊JP編集部)

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