現代版ドラクエ2か?話題沸騰の新感覚スリラー『ドントブリーズ』レビュー

デイリーニュースオンライン

『ドント・ブリーズ』公式サイトより
『ドント・ブリーズ』公式サイトより

 デトロイトのうらぶれた若者たちが大金目当てに盲目のジジイの家に強盗に入ったら、ジジイが実はスゴ腕の元軍人で、出口を封じられた上でボコボコにされる。そんな凄まじい企画性でいま話題の映画『ドント・ブリーズ』。タイトルの意味は「息をするな」。このジジイ、呼吸音すら聞きつけて襲ってくるぞ!

■冒険ファンタジー映画の側面も

 しかし、この映画はあらすじだけ聞くと、『ホーム・アローン』のようなコメディタッチに聞こえますが、実はむしろホラー寄りの作品。ジジイも単なる被害者ではなくヤバいジジイだし、どちらかと言えば、強盗に入った若者たちの方に感情移入するような作りになっています。まあ、とはいえ、強盗は強盗なんで「ロクでもない若者たちがロクでもないジジイに殴られる話」と考えてくれてOK。

 この作品は一般的にはホラー・スリラー映画に分類されると思うのですが、しかし、僕が見ていて感じたのは、こいつはある意味「冒険ファンタジー映画でもあるな」ということです。

 不謹慎な話ですが、現代を舞台に考えると、「剣と魔法の世界の冒険」に一番近いのって「強盗」なんですよね。ダンジョンに潜る。モンスターと戦う。お宝を見つけ出して一攫千金。ハイリスク・ハイリターン……。そんなロマンを現代に置き換えると……ほら、強盗じゃないですか?

 そして『ドント・ブリーズ』にはそれら全ての要素が詰まっています。ジジイの家の地下室はまさにダンジョンだし、ジジイはダンジョンを徘徊するモンスターだし、金庫にはジジイの大金が隠されているし、おまけに地下迷宮の奥深くには囚われの姫までいるんですよ! モンスターをブン殴ってカギを見つけて脱出だ!!

 強盗に入る主人公たち三人は、イケイケの兄ちゃん、やや優等生気味の青年、そしてヒロインと、実に『ドラゴンクエスト2』を連想させるメンツ。このローレシア、サマルトリア、ムーンブルクのトリオがダンジョンに行ってですね。モンスターから逃げ惑いつつ、お宝を奪って帰る話なんですよ。ほら、こう言われると、もう冒険ファンタジーとしか思えないでしょう? こいつはもう間違いなく現代版『ドラクエ2』ですよー!

 というわけで、本作はロクでもない連中が殺し合うロクでもないクライムスリラーであり、盲目ジジイに追いかけ回されるホラー映画であるわけですけど、何気に冒険ワクワク要素もあったりして、妙に気分がアガる映画だったりもします。危険を乗り越えて一攫千金ってのは(他の要素がどんだけロクでもなくても)やっぱりドキドキ感のある骨子なんですね!

著者プロフィール

作家

架神恭介

広島県出身。早稲田大学第一文学部卒業。『戦闘破壊学園ダンゲロス』で第3回講談社BOX新人賞を受賞し、小説家デビュー。漫画原作や動画制作、パンクロックなど多岐に活動。近著に『ダンゲロス1969』(Kindle)

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