絵本の無料公開で猛非難?”炎上芸”キングコング西野のしたたかさ (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

 こうした炎上で自分の知名度が上がれば芸人・西野にとってはプラス面も多いだろう。だが、今回の無料公開がクリエイター・西野にとっては大きなダメージになり兼ねない、と危惧する声も上がっている。グラフィック作家の男性は語る。

「2013年ごろ、やなせたかしさんが地方自治体など多くの団体に依頼され、かなりの数のご当地キャラクターを無料で描いたことが話題になったことがありましたが、この時にもやなせさんのような巨匠がタダで描いてしまったことで、業界内には報酬を受け取りにくい空気ができてしまった。今回、西野さんもそういうことに配慮して他のクリエイターに無償で仕事をするよう迫るな、といった内容を合わせて書いてはいるが、西野さんとイラストやグラフィックを本業としているクリエイターでは受け取るギャラの意味も立場もまったく違う。腰掛けの西野さんだけが”ええカッコ”して業界を荒らすな、という声が周りには多い」

 自分が権利を持っている2000円の本が買えない層に対し、ウェブ上で無料で見られるようにする。その行為自体は称賛されてしかるべきもの。とはいえ、今回の騒動に関しては、西野の知名度を上げたいという意図が透けて見えてしまったこと。そして、その行為によって他人が不利益を受ける、ということが二重の炎上要素があったことになる。

 こういった声を受けてか、当該の発表が行われた19日の午後、西野は無料化を機に、『えんとつ町のプペル』のAmazonでの売り上げが増加したという報告を行ったが、炎上には追加情報を重ねてさらなる関心を呼び込んだ。この西野の一連の行動は出版業界に一石を投じるものとなるのか、あるいは巷で揶揄されているような炎上芸に終わってしまうのか。その成り行きに注視する関係者は多い。

文・佐々木浩司(ささき・こうじ)
※1980年群馬県生まれ。スポーツ誌の契約記者を経てフリーに。現在は主に、週刊誌やビジネス誌で活動中。得意分野は芸能、プロ野球、サッカーなど。主な著書に『洗脳のすべて』(宝島社)など。
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