ハーバード大学にある木の切り株につくられた、くまのプーさんの家

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ハーバード大学にある木の切り株につくられた、くまのプーさんの家
ハーバード大学にある木の切り株につくられた、くまのプーさんの家

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 木の切り株の下に作られたプーさんの家には、鮮やかな色のちっちゃなドアがついている。これはハーバード大学構内に何十年もずっとあるが、その歴史は込み入っていて、必ずしも明るい話ばかりではない。

 だが、この家を見るためにハーバード大の一角を訪れる価値はある。ただし、屈み込んで下のほうを覗き込まなくてはならないが。

 プーさんは広大な森の住民だが、その住まいは必ずしも森の中だけだったわけではない。10年前、ラビットとピグレットは半マイル(800メートル)以内のところにあった木の根元にあるリスサイズの家に住んでいた。

 大人なら、なにかを落としたり、靴紐を結ぶのに屈んだりしたときでないと、気がつかないような場所だ。鮮やかな色のドアを見つけるのは、たいては子どもたちだ。きしむドアを開けると、ちょっと湿っぽくてクモの巣のような広間があらわれる。

 残念ながら、ラビットやピグレットが出てくることはなく、中には誰もいないようだ。おそらく彼らはプーさんの家を訪ねて、たっぷりハチミツをたらしたお茶を飲んでいたか、暗くてふわふわした奥の部屋で、まったりしていたのかもしれない。

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 でも、こうした木はずいぶん前に切り倒されて、その切り株は鮮やかな色の椅子や、新入生が日光浴する腰掛になっていた。プーさんの家だけが残っていたが、ハーバードサイエンスセンターの外壁のセメントをはがす2012年の改修工事のときに、その木も切り倒された。

 しばらく、切り株がそのまま放置され、周囲に工事フェンスがはりめぐらされて立ち入りが禁止された。プーさんの家のドアもなくなり、でこぼこした木の根の間がすかすかしたただの木の洞になってしまった。

 しかし、数ヶ月後、むき出しだった切り株のてっぺんに木の屋根がかぶせられ、まもなく新しいドアも取りつけられて、"Pooh"の表示も新たに加えられた。プーさんがハチミツの壺を抱えて戻ってきたと思ってもおかしくない。

 数年の間、この家はクリストファー・ロビンの森の一角、サイエンスセンターのすぐ外のところにあった。毎日、物理のノートの入った重いバックパックを背負った学生たちが通り過ぎ、観光客が立ち止まって写真を撮る。

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 プーさんがここにいる。姿は見えないけれど、ペンキが塗られたドアの向こうでおやつを食べたり、居眠りしたりしているに違いない。

 しかし、ペンキははげ、木ももろくなる。プーさんの家はある日突然壊れてしまいそうにも見える。その兆候はあった。まず嵐、あるいはちょこまか動くリスのせいかもしれない。まもなく小さな蝶番が乱暴に引きちぎられてドアがなくなった。ドアの向こうの居間は、またしてもしっとりした木の中のぽっかりあいた洞になった。

 プーさんの家の骨組みは、まだサイエンスセンターの外にある。屋根はほとんど損なわれていない。毎日、学生たちがそばに自転車を止めて鍵をかけ、化学の授業に走っていく。プーさん本人はどこにもいない。完全にいなくなってしまったのかもしれない。

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 たぶんオウルのところに引っ越したか、ロバのイーヨーの小屋に行ったのかもしれない。それとも、クモの巣のような入り組んだ洞にひっそりと隠れて待っているのかもしれない。新しいドアがつけられて、またペンキが新しく塗られるのをじっと見守っているのかも。

 プーさんの家を訪ねるならレッドラインでハーバード・スクエア駅へ向かい、ちょっと歩くとハーバード・サイセ

ンスセンターの外、建物の左手にプーさんの家はある。


via:Pooh's House/ translated konohazuku / edited by parumo



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