世界1位のマレー敗退、ズベレフの兄ミーシャが番狂わせ [全豪オープン]

テニスデイリー

世界1位のマレー敗退、ズベレフの兄ミーシャが番狂わせ [全豪オープン]

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会7日目、男子シングルス4回戦。

 アンディ・マレー(イギリス)は渇望しては逃し続けている全豪のタイトルを今年も獲ることができなかった。マレーは世界50位のミーシャ・ズベレフ(ドイツ)に驚きの4回戦負けを喫したのである。5度にわたって全豪決勝に進みながらそのたび敗れていたマレーは、5-7 7-5 2-6 4-6で敗れたその試合で左利きのズベレフのサーブ&ボレーにリズムを乱され、落ち着きを失っていた。このマレーの敗戦により、全豪2週目の展望は深刻に変わることになる。

 マレー敗退は、6度全豪を制した前年度覇者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)の2回戦敗退に続くものだった。ジョコビッチはワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した世界117位のデニス・イストミン(ウズベキスタン)に敗れた。

 トップ2シードが揃って全豪の準々決勝に進出できなかったのは2002年以来のことであり、グランドスラム全体を見れば2004年の全仏以来だった。

 「今この瞬間に僕は落ち込んでいる。でも以前にも辛い敗戦はあり、僕はいつもそこから立ち直ってきた」とマレーは言った。

 準々決勝にジョコビッチとマレーがいない----彼らのうちどちらか一人だけでもグランドスラム大会のベスト8にたどりつかないということは、2007年以来のことだ。これによりほかの選手たちに大きくチャンスを開くことになったことは間違いないだろう。

 ズベレフは準々決勝で、第5シードの錦織圭(日清食品)を破った第17シードのロジャー・フェデラー(スイス)と対戦する。17度にわたりグランドスラム・チャンピオンとなったフェデラーは故障から復帰したばかりだ。

 2014年にここ全豪で初のグランドスラム・タイトルを獲った昨年の全米チャンピオンでもあるスタン・ワウリンカ(スイス)はアンドレアス・セッピ(イタリア)を7-6(2) 7-6(4) 7-6(4)で下したあと、ますます有力なタイトル候補として浮上した。彼は準々決勝で、2008年全豪準優勝のジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)と対戦する。ツォンガはダニエル・エバンズ(イギリス)を6-7(4) 6-2 6-4 6-4で退けた。

 ボトムハーフ(ドローの下半分)にまだ勝ち残っている選手の中で、グランドスラム・タイトルを獲得したことのある唯一の選手がラファエル・ナダル(スペイン)だ。30歳のナダルは「14」の栄冠を手にしているが、彼は2014年の全仏を制して以来、グランドスラムで優勝することができていない。

 ズベレフはマレーの天性のベースラインゲームをかき乱しながら攻撃を仕掛け、ネットに出た際の118ポイントのうち65ポイントを取った。

 29歳のズベレフは重要なポイントで何本かの驚くべきボレーを打ったが、本人にとっては意識という点ですべてがぼんやりしていたのだという。

 「正直言ってよくわからない。僕はちょっとコーマ(意識不明状態)に陥っているような感じだったんだ。僕はただサービスを打ち、ボレーを打って道を切り開いていた」とズベレフ。「正直に言ってどうやってやってのけたのか、自分でもよくわからないポイントがいくつかある」。

 ズベレフのここまでキャリアで最高の試合を間近で見せつけられたマレーは、それに対抗しきることができなかった。

 「彼がネットに出てきたときに打ってくるショットが問題だった」とマレー。「彼はいくつかの素晴らしいショットを打ってきた。特に最後のほうの、緊迫した場面での反射的なボレーなどだよ」。

 マレーはまた、「彼は、彼がそれを必要としているときに、非常にいいサービスを打ってきた」と言った。「彼は勝利に値した。なぜなら苦境に置かれたときに、そして重要な瞬間に、素晴らしいプレーをしたからだ」。

 2010年の決勝でフェデラーに、2011、13、15、16年の決勝でジョコビッチに敗れたマレーは、過去7度の全豪で必ず準々決勝か、それ以上まで勝ち上がっていた。

 彼は2006年の全豪で世界51位のフアン イグナシオ・チェラ(アルゼンチン)に敗れて以来、10年にわたってグランドスラム大会でこうもランキングの低い選手に負けたことはなかった。

 これはまた、2003年のレイトン・ヒューイット(オーストラリア)の4回戦敗退以来、全豪での早期第1シード敗退でもある。

 そして、これは全豪でここまで勝ち上がれるのではと予想されていたズベレフの弟のほうの勝利でさえないのだ。グランドスラムで勝つ可能性を持つ期待の星として有望視され、称えられていた19歳のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は、3回戦でナダルに敗れる前にセットカウント2-1でリードしていた。

 この日、弟アレクサンダーはロッド・レーバー・アリーナの観客席にいた。第4セットが始まったとき、大部分の観客はほとんど各ポイント後に「カモン、アンディ」と叫びつつ、大きくマレーのほうを後押ししていた。

 マレーはネットにボールを打ち込んだり、スタンドの自分のチームのほうを見て叫んだりと、セットの出だしから興奮して苛立っていた。

 4-3からサービスに入ったズベレフは、マレーの守備的なロブに対してごく普通のスマッシュを含めて2本の簡単なショットをネットに打ち込み、観客が息をのんでから吐く音がスタジアム中に響いた。

 しかしズベレフは最終的に、今年最大の勝利のために踏みこたえた。彼は大胆なプレーと頻繁なネットラッシュでサポートをも勝ち取ったのだ。

 つかんだ最初のマッチポイントで試合を終わらせたとき、彼は落ち着いたしぐさで、あたかも安堵を表現するかのように、胸の前で両手を握り合わせたのだった。(C)AP(テニスマガジン)

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