みなし残業とは? その仕組みとトラブルを避ける方法

フレッシャーズ

みなし残業とは、あらかじめ決められた時間分の残業代を給与の中に組み込んで支払うというもの。近年、この「みなし残業」を適用している企業が増えてきています。このみなし残業という制度、聞いたことはあるもののよく仕組みを理解していないという人もいるのではないでしょうか。万が一トラブルに巻き込まれないためにも、今回は、みなし残業の仕組みをについてご紹介します。


■みなし残業を企業が導入するワケ

近年、多くの企業が給与を時間ではなく成果に応じて支払う方針にシフトしています。また、実際の業務も、時間を軸に給与を決めるのが難しいものが多くなっており。これみなし残業が増えてきている背景です。

また、企業にとって大きな負担となるのは、やはり人件費です。人を1人雇用すると、給与の他に労使で折半する国民健康保険、厚生年金、雇用保険といった保険など、大きな負担が発生します。しかも、その負担は恒常的なものになります。

また労働者への給与の支払いでは、(法定)時間外労働、(法定)休日労働、深夜労働が行われた場合には割増の賃金を支払わないといけません。

例えば、
●法定時間外労働:25%割増の賃金
●深夜労働22:00-翌日5:00:25%割増の賃金
●時間外で深夜労働:50%(法定時間外25%+深夜労働25%)割増の賃金
●法定休日労働:35%割増の賃金
●法定休日で深夜労働:60%(休日労働35%+深夜労働25%)割増の賃金

といった割増賃金を支払わなければなりません。このような「法定時間外の労働に対して支払われる賃金」を私たちは「残業代」と呼んでいるわけです。残業代は25%増し、などになるため、企業にとっては大きな負担となります。

この人件費を削減するという目的も、みなし残業が増えてきている一因と言えるでしょう。みなし残業にすれば、お金のために無駄に残業をする「残業代稼ぎ」も防げるというメリットも考えられますね。

■「みなし残業制」のメリットとデメリット


みなし残業制を採用している企業では、給与にみなし残業代としての金額が加算されています。この制度のメリットとしては、

●みなし残業の時間を必ず残業しなければいけないわけではない
●残業せずに業務をこなせば、その分は得になる

という点に尽きるでしょう。みなされている時間分まで働かなくても業務が遂行できるのであれば、割増計算された賃金分がもらえて得ですよね。みなし残業以内の時間で残業が済んでいるのであれば、給与計算が楽という会社側のメリットもあります。

この逆がそのままデメリットになります。課される業務が、みなし残業分よりも多い場合には労働者が損になります。「みなし残業」で、例えば「月に20時間」と残業時間を見込んでいるのに、それが月30時間もあったら、これは労働者にとって大きな負担です。
さらに、このみなし残業時間の見込みこそが労使のトラブルになるのです。

■「みなし残業制」でトラブルを避けるためには

「みなし残業制」においては、給与の中に「○時間分の残業代□□円」が含まれていると明示されていなければなりません。また、みなし残業代が給与に含まれているからといって、会社(使用者)はそれ以上の残業代を支払わなくていい、ということではありません。

「○時間分の残業代□□円」と、決められた以上の残業が発生した場合には、その分の残業代は支払わないといけません。支払わない場合は労働基準法(以下、労基法)違反です

つまり、みなし残業制の導入が「残業代を増やさないで済む制度」と考えている会社(使用者)、また「みなし残業代が給与に入っているから、それ以上の残業代は支払わないよ」という経営者は、労基法を犯していることになります。

労使間でトラブルを避けるためには以下の点を確認しておくことです。

●「みなし残業制」で何時間分の給与が含まれているのか、その計算は正しいのか
●「みなし残業の時間分」を超えて残業が行われた場合は、超えた分の残業代が新たに支払われるかどうか

上記の2つが確認されていればみなし残業によるトラブルは起こりにくいでしょう。繰り返しになりますが、「みなし残業だから残業代はこれ以上出ないよ」という説明は誤り、労基法違反の可能性があります。もし、あなたの会社でそのような説明がされているなら、人事担当者に給与について再確認してみることをおすすめします。

(高橋モータース@dcp)

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