管理職は残業代が出ない? 労働基準法ではどう定められている?

「管理職になったら残業代が出なくて給料が減っちゃったよ」なんて上司が嘆いているのを聞いたことはありませんか? 「管理職には残業代が出ない」と思っている人が多いかもしれませんが、実はこの部分はグレーゾーンともいえるのです。今回は、管理職と残業代についてご紹介します。
■管理職の残業代、労基法上はどうなっている?
労働条件に関して「最低でもこれは守るように」という基準を定めたのが「労働基準法」、いわゆる「労基法」です。「管理職に残業代を出さなくてもいい」という根拠とされるのが、この労基法の「第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」の中にある、「労働時間等に関する規定の適用除外」を定めた第四十一条です。
第四十一条
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
とあって、その二号に、
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
と書かれています。これをもって、「管理職は『管理監督者』であるから、残業代を支払わなくてもいい」とされるのです。
■管理職にもいろいろあるけどホントに残業代なしでもOK!?
しかし管理職といっても、その職能権限はいろいろです。経営を左右する発言権を持つ管理職もあれば、管理職とは名ばかり、といった場合もあります。その会社の規模や業種、またその企業の風土によって、「管理職」の実態は大きく変わりますね。
特に、課長・部長といっても特に部下が増えたわけではなく、肩書があるだけで中身は普通の社員となんら変わらない、といった場合には、上記の労基法の「規定の適用除外」とならない可能性があります。実際、この点を巡って裁判が起こされることも少なくありません。
●その肩書きの人が、労基法に定められる「監督者」に当たるのか?
がポイントです。もし裁判になったら、残業代を支払わなくてもいいだけの、つまりは「監督者と呼ぶに足る権限があったのか」が問われることになります。自分で労働時間が決められたり、休憩・休日を自分で設定できたりしたのか? また監督者にふさわしい給料をもらえていたか? といった点が重視されるのです。それらがないと監督者とはいえない、とされるケースが多いようです。
前述のとおり、労働環境は会社ごとに違いますから、一概に「これらが満たされていないと管理職ではない」と規定することはできません。それぞれの解釈が入ってくるので判断が難しくなってしまうのです。
ただし、上記の説明のとおり「管理職だから残業代が出ない」という言い方は間違っています。「たとえ管理職でも、その実態が労基法で定めるところの監督者でないなら、残業代を支払わないといけない可能性がある」というのが、法律上の正しい認識でしょう。
(高橋モータース@dcp)