金正恩体制の横暴に北朝鮮庶民が「人権」で抵抗 (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

「乗せてほしい」という保安員に対しドライバーは「外国人のお客さんを乗せているからダメだ」と断ったという。

いずれのケースも以前ではあり得なかったことで、このビジネスマンは「非常に驚いた」と語った。とはいえ、保安員の横暴に対する報復とみられる事件は、数年前から頻発している。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は2015年8月、悪徳保安員や保衛指導員に対する報復事件が全国各地で頻発していると伝えている。羅先(ラソン)では、評判が極めて悪かった税関の元職員(北朝鮮では警察と同じ扱い)が、外貨稼ぎ業者に囲まれ、激しく暴行された上に、衣服をすべて剥ぎとられて人通りの多い交差点に晒される事件が起きた。これ以外にも、残忍な方法による報復事件も起きているが、それだけ庶民の治安機関に対する恨みは大きいようだ。

驚くべき事に、ここ最近は「法治」「人権」などと言った概念を使い、治安機関に抵抗する庶民が増えつつあるということだ。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)の別の情報筋によると、不当な取り締まりを行う保安員に対して、「それは人権違反だ!」と言って反抗する人が現れたというのだ。どうやら「人権侵害」のニュアンスで発した言葉のようだ。平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、人々の間で人権意識が芽生えつつあることに対して、「韓国のラジオが情報源になっている」と説明する。

世界最悪の人権侵害国家と言われる北朝鮮に対して、国際社会の批判の声が以前にも増して高まりつつあるが、それに対して北朝鮮の国営メディアは「人権謀略劇」などと激しく批判する。人権という言葉はこのような時に使われるだけで、学校や社会で人権教育が行われるようなことはない。

北朝鮮の人々も人権の意味や概念を理解しているわけではないだろう。しかし、こうした風潮が広がることによって、庶民の間に人権意識が広がることは非常に喜ばしい。

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