原価率50%の「288円ランチ」 ある辣腕経営者の型破りすぎる繁盛法 (3/3ページ)
「あと50年は続く商売って何だろう?」というところから考えていったら、食堂、それも半径1~2km圏内に住んでいる人たちから愛されるような食堂をつくりたいと思った。となると、「安心安全」は避けて通れないキーワードだったんです。
ちなみに、なぜ50年かといえば、息子のことを考えて。僕は今年で50歳。なので、「自分が生きているうちに叶う夢」には、もうさほど興味がありません。でも一方で、「自分が死んでから叶う夢」はまだ追いかけていたいなという思いがあります。
その意味で、いま小学生である息子に、「生涯をかけてできる仕事」を遺したいなと思った。僕がこの食堂で目指しているのは「昭和の台所」なのですが、息子の代でその夢を実現させてくれればうれしいなと。
――そうした息子さんへの思いこそが、この商売における天野さんの軸になっていったわけですね。天野:逆にいえば、自分なりの哲学さえはっきりすれば、自分の仕事への責任感が生まれるし、覚悟も決まる。そうなると、失敗がこわくなくなるんです。
ところで、トランプは4回もの破産経験があるのに大統領になりましたよね。そう考えると、アメリカに比べれば、日本はまだまだ失敗というものに対する考え方が遅れているなと感じます。世間から「あの人は失敗者だ」と烙印を押されたら、その人が立ち直るにはかなりのパワーが要るので。
人一倍、こういうことを強く思うようになった背景には、僕自身、両親の顔を知らないまま養護施設で育ったし、三度の少年院行きを経験しているし……と、世間が色眼鏡で見たくなる経歴も大きく影響しているかもしれません。
(後編へ続く)