『全部、言っちゃうね。~本名・清水富美加、今日、出家しまする。~』を読んでみた:ロマン優光連載77 (3/4ページ)

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それを信じると現実が良くなったり、信じないと現実に罰が当たるというようなものであってはいけないはずなんです、少なくとも現代の日本においては。新興宗教の中には、現世利益をうたったり、信じないと罰が当たると脅したりする団体もあります。さらには、心が弱っている人につけこんで財産を巻き上げようとする問題外のところすらあります。自分の欲に都合よく相手の精神をコントロールすることで偽りの心の平穏を与えることが本当の救いとは思えないです。こういうやり方は一部の悪質な宗教に限ったことではなく、芸能プロだって、会社だって、学校だって、あらゆる組織の中に見られます。千眼さんの場合、芸能界で頑張って成功するためには色んな理不尽を受け入れなければならないという、それまでの『信仰』が崩れた時に、別の『信仰』につけ込まれてしまったような気がします。
 人は何を信じてもいいんですよ、それが本当に自分で選んだものなら誰が何を言おうと信じていいんです。(それはあくまで原則論で精神的世界の問題で、現実では不利益を受けたり刑事的な処罰を受けることだってあるでしょうから、各自がよく考える前提です。)自分の意志で何かを信じるのと、他者が上手いことすり寄っていってコントロールして、選ばざるを得ないようにしておきながら、さも自分が選んだように思わせて信じ込ませるというのは違うんですよ。特に宗教/思想の勧誘をしてくる人は危険です。他人に影響を受けて何かを信じるようになることはあります。しかし、それは他人の行動や主張をこちらが見て感銘を受けることから始まるものです。こちらの個別の事情に寄り添ってきて、実のない言葉で勧誘してくるものに、動かされるべきではないのです。
 何を信じるのも結局は同じ、どれも偽りの心の平穏ではないかという話もあります。まあ、そうかもしれません。しかし、他人の心に割り込んで偽りの平穏を与えるという行為は全然違う話です。自分が勝手に信じたことで人生が台無しになるのは本人の責任ですが、他人に信じこませて他人の人生を台無しにするのは、信じ込ませた奴の方が絶対に悪いのです。魔法はいつかとけてしまいます。魔法使いが生きているうちは魔法が有効だとしても、死んだ後に魔法がとけてしまった人たちのことは知らないとかいうのは非常にひどい話です。

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