北朝鮮は金正男氏の遺体を引き取ってどうするつもりなのか (1/2ページ)

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北朝鮮は金正男氏の遺体を引き取ってどうするつもりなのか

北朝鮮の故金正日総書記の長男で、金正恩党委員長の異母兄に当たる金正男氏が殺害された。マレーシアのザヒド・ハミディ副首相は遺体の処遇について、いったんは北朝鮮側の引き渡し要求に応じる姿勢を示した。しかしその後、正男氏の2番目の妻とされるリ・ヘギョン氏が、中国政府を通じて遺体の引き渡しを求める動きを見せていることから、見通しは流動化している。

「八つ裂き」説も

仮に北朝鮮側に引き渡されたら、北朝鮮は遺体を静かに処理するだろうというのが大半の見方だ。正男氏殺害の背後に北朝鮮当局がいるのなら、証拠隠滅を図らなければならないし、それに北朝鮮当局は今まで、金正男氏の存在を国民に隠してきたためだ。彼の存在は金正日氏の女性遍歴につながるものでもあり、北朝鮮当局はどうしても国民に明かせないのだ。

北朝鮮政府の高位幹部をつとめた脱北者はデイリーNKの取材に対し、「北朝鮮が金正男氏の遺体の引き渡しを要求しているのは、証拠隠滅のためでもあるが、国際社会の『人権攻勢』を気にし、死者を丁重に扱う姿勢を見せるためだろう」と述べた。

また「金正日氏の長男として世界的に知られている人物の遺体を海外に置き去りにするのは、はばかられる」という理由も指摘した。金正日氏の息子の遺体をぞんざいには扱えないということだ。

それでも、北朝鮮当局は彼の存在自体を徹底的に隠蔽するはずだという。

「北朝鮮は、金正男氏の遺体を誰も知らないところに葬り、墓石には名前も刻まないだろう」(前出の脱北者)

北朝鮮が暗殺の疑惑を払拭するために、正男氏の死について公式に言及したり、葬儀を行ったりする可能性も排除できない。北朝鮮は、正男氏が海外で「反共和国(北朝鮮)敵対勢力」に雇われた暴漢に殺害された、と主張することもできる。ただしこの場合にもも、北朝鮮国内に金正男氏の存在を知らしめないよう、「わが民族同士」など対外向けメディアでの報道にとどまるだろう。

一方、北朝鮮が金正男氏の遺体に対して、現代社会では決して容認されないような行為を行うかもしれないとの見方を示す人もいる。

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