ジレットの極薄5枚刃は、文明の発展に欠かせないものを教えてくれた。 (1/3ページ)
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■ ヒゲを剃るというダンディズムと安らぎ
昔のマフィア映画を観ると必ず出てくるのが床屋でのヒゲ剃りのシーンである。ヒゲ剃りは、男のダンディズムと安らぎを象徴する儀式なのだ。
今から3年前、私はそれまで20年近く通っていた近所の美容院に通うのを辞め、ちょっと遠くの床屋に切り替えた。「髪とヒゲの身だしなみはきちんとして!」と当時のガールフレンドに請われたからだ。それまでは無精ヒゲを生やしたまま、美容院も年に2〜3回という程度。身だしなみに無頓着だった。
床屋へ通うのは25年ぶりだった。そして久しぶりの床屋で改めて感動したのは、ヒゲ剃りの心地よさである。本当に気持ちいい。床屋でのヒゲ剃りはまさに心身ともに洗われる厳粛な儀式である。シェービングフォームの泡を立てて柔らかい刷毛で顔に塗って、熱くしたタオルで肌と髭を蒸して、ジョリジョリ……。以来、私は月に二度床屋に通うようになった。昼下がりのひだまりの中、まるでマフィアのボスになった気分でうとうとしながら、理容師に身を委ねるのがヤミツキになってしまった。
床屋に通い始めてからは、家でも手動のヒゲ剃りで無性に“男の儀式”を体験したくなった。そして、手動のヒゲ剃りで“男の儀式”を行うようになった。ヒゲ剃りで始まる朝は、男の一日に活力を与えてくれる。

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とはいえ、朝のバタバタした中では、ゆったりとヒゲ剃りに時間をかけられない現実もある。毎朝理容師さんに剃ってもらうわけにもいかない。自分で剃らなければいけないのだ。シェービングフォームを何度も塗りながら、のんびり剃るという余裕はなかなかない。するとシェービングフォームがなくなってきたところへ、つい刃でカリっと肌をやってしまうことがある。これだけはなかなか慣れない。