突然変異遺伝子の研究で将来叶うかもしれない10の素晴らしい能力

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突然変異遺伝子の研究で将来叶うかもしれない10の素晴らしい能力
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 中2病を患っていようがいまいが、一度はスーパーヒーローのような能力が欲しいと考えたことはあるだろう。怪力、瞬足、ゴムのように伸びる体、毒に強く電気を通さないからだなどなど。

 だがすでに一部の人はこれらの能力を持っているという。その能力はどこからきているのか?それがわかりかけてきた。遺伝学者は素晴らしい能力を発揮する突然変異を特定しつつあるのだ。

・10. 折れない骨


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 骨折したら数か月が台無しになる。骨は人体で最も硬い物質でありながら、案外よく折れる。が、LRP5という遺伝子の突然変異があれば心配無用だ。

 LRP5は骨密度に関連する。これまで、この遺伝子の突然変異が骨粗鬆症を引き起こすことは知られていた。しかし最近になって反対の効果を生むことも判明した。アメリカに住むある家族はLRP5に突然変異があるが、ほとんど折れないくらいに骨密度が高いのである。脊椎、頭蓋骨、骨盤まで、この一家は地球上で最強の骸骨を持っている。

 専門家によると、この突然変異が骨の成長シグナルを出しすぎるのだという。将来的に骨に関連する疾病の治療に応用される日が来るかもしれない。・9. 瞬足


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 人には走るという基本的な能力がある。中にはこれが大得意な人もいるが、その源はトレーニングやステロイドなどではない。

 ACTN3という遺伝子がごく稀に突然変異して、特殊な物質を作り出しやすくすることがある。それはαアクチニン3というタンパク質で、筋肉繊維の素早い動きを助けるものだ。これが増えるほどに、筋肉の力を爆発させやすくなり、走りをはじめとするあらゆるスポーツのパフォーマンスを改善してくれる。

 この突然変異には2種類存在し、両方を持つアスリートの方が優れた成績を残す傾向にある。肉体強化の新時代がもうすぐ幕を開けるかもしれない。・8. 毒耐性


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 たった1滴のシアン化物やリシンで人体はすぐさま崩壊する。うっかり口にしてしまえば、抵抗することは非常に難しい。

 しかしアルゼンチン、サンアントニオ・デ・ロス・コブレスの住民は、大昔から安全基準の80倍ものヒ素が混ざる湧き水を飲んで暮らしてきた。危険な物質に大量に暴露しているにもかかわらず、彼らはけろりとしている。その秘密は突然変異遺伝子にある。

 

 AS3MTには人体のヒ素を処理し、危険なレベルまで蓄積しないようにする機能がある。これがあれば、その毒を好きなだけ飲むことができるのだ。現在6,000人ほどがこの遺伝子を持つと見積もられている。・7. ショートスリーパー:短時間睡眠


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 短時間の睡眠に適した突然変異があるという。

 睡眠に関連する遺伝子は数が多く、非常に複雑だ。しかし特にDEC2という遺伝子が毎晩の睡眠量を制御する役割を担っている。ほとんどの人間は毎晩8時間の睡眠が必要だが、その突然変異を持つ5パーセントの人はずっと短い睡眠時間で済む。

 実験からは、彼らが毎晩4~6時間の睡眠で十分であることが明らかになっている。常人なら数日で不調をきたすような睡眠時間だが、彼らはまったく通常通りに生活できる。・6. 耐電皮膚


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 普段意識することはあまりないが、電気は私たちが日常扱っているものの中で最も危険なものだ。下手をすると一瞬で絶命する危険すらあるが、セルビア人のスラヴィサ・パジック(Slavisa Pajkic)には当てはまらない。

 一般の人間は無数の汗腺に覆われている。電気にとって、濡れた汗腺は皮膚内へと侵入する格好の経路だ。しかしパジックには稀な突然変異のせいで汗腺も唾液腺もない。このため電気は体内に侵入できず、皮膚の上をかすめるだけだ。

 このユニークな能力ゆえに、パジックは”バッテリーマン”というニックネームで呼ばれる。体に電気を通過させて、料理したり水を沸かしたり、火をつけたりもできる。地元では、この能力を使って偏頭痛や腰痛などの治療を行なっているそうだ。・5. アルコールやドラッグを分解する能力


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 成功したロックミュージシャンのライフスタイルは人体に大きな負荷をかける。ドラッグやアルコールの濫用で無数の才能が若くして失われた。が、それすら克服する者がいる。

 メタルの帝王オジー・オズボーンが長生きしているのは、幸運以外にも原因があるだろう。彼の体を解析した結果、アルコールなどの化学物質の分解に関連する突然変異遺伝子がいくつも見つかったのだ。例えば、ADH4は体からアルコールを除去するタンパク質の量を増やす。このおかげで、彼が認めているような大酒、コカイン、モルヒネ、LSDなどのプールで泳ぐ日々でも死なずに済んでいるのだろう。・食べ物以外を食べる能力


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 ミシェル・ロティートという人物は日々を食べることに費やしており、”Monsieur Mangetout(ミスター完食)”の異名を持つ。テレビ、買い物カート、ベッドはおろか、飛行機までスーパー胃袋の中に収めてしまう。常人がガラスの破片やねじれた鉄のスクラップを飲み込めば死んでしまうが、ロティートは美味しく頂ける。

 彼には遺伝的な欠陥があり、胃や腸の内壁が異常なまでに分厚い。このおかげでとんでもない美食家になれたわけだが、食前酒代わりの潤滑油が一応の安全対策だとか。・3. ゴム人間


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 ワンピースのルフィは内臓や器官、骨など、全身を自在に伸縮させられる「ゴム人間」だ。超柔軟なルフィが見せる荒業はビジュアル的に大きなインパクトがある。だが、これには及ばないが、ちょっと近い能力を持つ人が存在する。

 マルファン症候群の人は腱や靭帯がゴムのようになる。フィブリン1というタンパク質の先天性異常が原因で、人間を超えた柔軟性が獲得される。関節を外し、体を捻る能力はマルファン症候群の患者によく見られるものだ。

 むろん代償もある。手足が異常に長く、相貌にも異常が見られる。遺伝子疾患のために骨格、神経系、心臓にも致命的な問題が発生する。・2. 怪力


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 スーパーヒーローに必須の要件が怪力だ。強大な敵と戦うには不可欠な能力であるが、素晴らしいことにそれを備えた人間が実際に存在する。

 ミオスタチンというタンパク質を作り出す遺伝子に突然変異がある人は、スーパーヒーローの如き怪力を発揮する。ミオスタチンは、十分な筋肉が作られるとそれ以上いらないと人体に告げる役割を担うが、突然変異によってそれが起きなくなるのだ。結果、脂肪が半減し、平均サイズの2倍もの筋肉が出来上がる。

 この能力を持つ人は世界でも一握りだ。研究を進めれば、筋ジストロフィーなどの筋肉関連の病気の治療に役立つ可能性がある。・1. 痛み耐性


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 足の小指をドアにぶつけたり、髭剃り中に肌を切ってしまったり、何かと煩わしいのが痛みという感覚だ。各種の痛み止めが販売されているが、遺伝子の中にも鍵があった。

 SCN11Aは細胞内のナトリウム量を決定する遺伝子だ。実は神経細胞は、ナトリウムを使って痛み信号を送るタイミングを決定している。だがこの突然変異遺伝子はナトリウム濃度を下げて、神経細胞が痛み信号を送らないようにしてしまう。

 痛みを感じないとは一見羨ましい体質だが、こうした人は骨折したり、自傷行為をしたりする傾向がある。警告になる痛みがないと、怪我をしやすいのである。幼児では特にそれが顕著だ。それでも、この突然変異は痛みの治療に革命を起こす可能性がある。


via:10 Mutant Genes That Could Make You Superhuman


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