韓国は政界の不祥事を経済改革の糧にすることができるか

まいじつ

ろん / PIXTA(ピクスタ)
ろん / PIXTA(ピクスタ)

現在の韓国は、汚職疑惑によって深刻な政治危機に見舞われている。しかし、投資家に限って言えば一条の光が差し込むかもしれない。

朴槿恵大統領の命運がどうなるにせよ、次期大統領に就任する人物は、抜本的な政治と企業の統治改革を行う使命を帯びることは間違いない。次期大統領の優先課題の一つは、企業統治を改善し、現在捜査されているような企業と政府の裏取引を防ぐことが挙げられる。

「韓国の捜査当局は、サムスン電子やロッテ、SKグループといった大財閥の事務所に家宅捜索を行っています。政府に便宜を図ってもらおうと、朴槿恵大統領と癒着していた崔順実(チェ・スンシル)被告や関係する財団に資金を拠出した可能性を巡ってのものです。これら3つの財閥グループに加えて、現在危機的状況にあるのは、韓進海運と現代自動車でしょう」(韓国ウオッチャー)

今後、さらに捜査対象が広がることも予想される。これまでも、韓国歴代大統領は、その多くが汚職で断罪されており、この流れを断ち切ることは必然的といえる。

財閥オーナー一族に対するチェック・アンド・バランスの不在は、長年にわたって韓国の株式市場を圧迫してきた。つまり財閥の長老たちが、企業価値向上の足を引っ張ってきたのだ。

「金融と経済分析の情報サービス企業『データストリーム』によると、ソウル株式市場の総合株価指数の予想株価収益率(PER)は10倍にも満たない状況です。これに対して、オーストラリア証券取引所の時価総額上位200銘柄で構成されているベンチマーク指数のS&P/ASX200は15倍を超えています。アジア企業統治協会が発表したアジア11市場ランキングでも、韓国は中国、フィリピン、インドネシアに次いで下から4番目でした」(同・ウオッチャー)

このように、韓国の経済状況は、停滞どころか衰退へと向かいつつある。2012年に行われた韓国大統領選挙では、企業改革が争点になって、多くの構想が俎上に上がった。そのなかには、朴大統領が出した案もあった。しかし、財界寄りの朴政権のもと、企業改革はほとんど進展していない。

「今回のスキャンダルで、真の抜本的改革への道筋が整うかもしれません。野党が成立を目論む企業統治強化の法律制定が実現すれば、企業は外部取締役を増やし、少数株主による経営監視の権限が強まるでしょう。株式の持ち合いが複雑に入り乱れている企業構造も、大幅に簡素化されるかもしれません。これらはすべて、韓国株の上昇につながる要因です。ただし、いままで以上に海外資本の株支配が進み、さらなる植民地化が加速する懸念も捨てきれません」(同・ウオッチャー)

2017年には新たな大統領が誕生する韓国。しかし、脆弱な韓国経済は、貪欲な欧米資本から虎視眈々と狙われつづけている。

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