「父親になる」とうつリスク高くなる?出産前後は増加傾向に【最新研究】
2017年2月15日(水)ニュージーランドの大学で行なわれていた出産前、出産後の父親の
うつ症状研究論文がオンラインで公開されました。(
参考)
母親が妊娠中や出産後にマタニティブルーや産後うつになることは知られていますが、父親はどうなのでしょうか。
今回は医師の松本先生にニュージランドで発表された父親のうつ研究論文について、研究内容や今後の課題点を解説していただきました。
父親になることのうつリスク 研究内容

ニュージーランド在住で、2009年4月25日~2010年3月25日の間に出産予定の妊婦のパートナー(男性)3,523人、平均年齢33.2歳(16~63歳)を対象に出産前後での精神状態を研究しました。
妊娠期の評価はエジンバラ産後うつ病スケール(EPDS)※1で行い12点以上をうつの可能性ありとし、出生後はPHQ-9※2を使用し9点以上をうつを評価しました。
その他にも心身の健康状態、喫煙状態、近隣との関係など様々な要素を前後で調べました。
《参照》
・※1 エジンバラ産後うつ病スケール(EPDS)
・※2 PHQ-9 研究結果

うつの症状が見られた父親の割合
■ パートナーが妊娠中: 82人(2.3%)
■ 出産9カ月後: 153人(4.3%)
■ 出産前後: 217人(6.2%)
それまでにうつ病の既往歴がある場合、より出産前後でうつになりやすい傾向があり、男性は女性よりもエジンバラスコアが低い傾向にありました。
また、子供の母親が妊娠うつや出産後うつになった場合、父親もよりうつになりやすい傾向にあり、出産前後の両方でうつだったのは18人でした。
妊娠期うつ
父親の妊娠期 ストレスを自覚テスト、社会や家族の環境、民族、これまでの不安の既往歴、妊婦との関係、ニュージーランドが母国かという評価と関係したところ、以下の項目が関連しておりました。
■ 父親の妊娠期ストレスと関連した項目
・年齢
・教育レベル
・障害
・喫煙
・労働環境
・予定外の出産
また、妊娠期うつの危険性は、以下の項目に該当する父親に増加傾向にありました。
■ 父親の妊娠期うつと関連した項目
・妊娠中ストレステストで高得点
・健康状態が悪い
・いつもより飲酒しなくなったなど
出産後うつ
父親の出産後ストレス及び出産後うつは以下の項目が関連しておりました。
■ 父親の出産後ストレスと関連した項目
・パートナーとの離別
・年齢
・妊娠期のストレス
・家族との関係
・外的環境
・民族
・教育レベル
・不安の既往
・障害
・職場環境
・経済状態
・喫煙
・健康状態
・予定外の出産
■ 父親の出産後うつと関連した項目
・妊娠中ストレステストで高得点
・妊娠出産後に喫煙し続けていた
・妊娠中に健康状態が悪かった
・失業
・うつ病の既往歴など
総合的にみて、妊娠期にうつになった人の方が、出産後もうつになりやすい傾向にありました。
研究の疑問や課題

著者等も述べていますが、6,167人の妊娠女性に参加を促し、5834人の妊婦にはパートナーがおり、協力したに同意した男性が4,402人(75.5%)であり、妊娠期には参加したのに、出産後は面接できなかった男性が277人いました。
結果として出生前後共に参加した3,549人(最終的には3,523人)は、以下のような偏りが見られました。
・年配
・ヨーロッパ系
・結婚している
・仕事があり
・ニュージーランド生まれ
・学歴が高い
・治安のいいところに住んでいる
また、評価方法が出産前後で違うことも正確な評価をしにくいのが難点です。
研究結果から考察する今後の展望

周産期(妊娠出産期)の母親のうつは12~19%とされ、ホルモンバランスなどの体の変化と関係していることがわかっていますが、父親も肉体的、精神的なストレスを受け、それらはホルモンなどのバランスを変えることが知られています。
父親のうつは母親との関係にかなり左右されており、同時に以下のようなことと関連があります。
・収入が低い
・賃貸
・妊婦のうつ
・妊婦との喧嘩
・失業
・不安
・母親との日々の喧嘩
・社会的支えが無い
考えてみればこれらのことは妊娠出産と関係なくうつ病になりやすそうな要因です。
ただ、父親のうつは母親のうつのようには直接子供に影響はしないでしょうが、母親の幸福感などを通して子供に影響する可能性がありますから、父親の症状を早期発見し対応することは大切だろうと考えられます。
最後に松本先生から一言

母親の周産期うつ病は知られていますが、父親のうつについてはあまり知られていません。
しかし、父親の精神状態は子供の母親に確実に影響し、それにより、胎児期も出生後も子供の健康、成長、精神状態などに影響を及ぼします。
失業などで困ったことになる前に、色々な社会的な支援の仕組みがあることを調べておいたり、禁煙をすること、パートナーとの良好な関係を保ち続けることなどは、ごく当たり前ですがとても大切です。
また、この研究では出産後にパートナーとの関係が無くなっていたり、パートナーと同居していない場合がうつの可能性がとても高く、人間関係は本当に精神状態に影響を及ぼすことがわかります。
家族で健やかに過ごすために、調べられることはしっかり調べて、「計画出産」し、仲良く過ごすことが何より大切ですね。
(監修:医師 松本明子)