北海道の葬儀習俗が種々様々な理由と過去実際に起こった幾つかのトラブル (2/2ページ)

心に残る家族葬



■アイヌ民族の葬送慣習を誤解したことで起こったトラブル

また、アイヌ民族の伝統的な葬送準備を、和人が誤解してしまったことによるトラブルもあった。例えば、アイヌ民族には高齢者、特に女性に寿命が近づくと、「あの世で住む家」を建ててもらい、亡くなるまでそこに住むしきたりがあった。そして亡くなってからその家を焼くと、故人となった居住者に届くとされるともされていた。この習俗を近くに住む和人が誤解して、「親不孝だ」と決め付けてしまったことによる騒動が、1950年代後半に起きている。

この騒ぎの際には、アイヌ民族出身の民俗学者知里真志保が仲裁に出るほどであった。私見になってしまうが、冠婚葬祭のしきたりの違いをめぐる誤解やトラブルを防ぐためにも、民俗学や文化人類学、宗教学の専門家が、きちんと一般大衆に向けて情報を発信することの大切さを、実感せずにはいられない。

参考文献:北の生活文庫4 北海道の家族と人の一生

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