ベトナムで高まる「ドアン被告を救え」の声

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ベトナムで高まる「ドアン被告を救え」の声

先月13日に発生した北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件に関与したとして、ベトナム人の女が逮捕、起訴された。

ベトナム国内でもこのニュースは大きく報じられ、救援を求める声が高まっている。同時に、ベトナム政府に対して「無策」だと批判する声も上がっている。米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)の英語版が報じている。

ドアン被告とインドネシア人のシティ・アイシャ被告は「いたずら番組だと思った」として、一貫して殺意を否認。一方、マレーシア警察は、2人がショッピングセンターなどで「繰り返し予行演習をしていた」と指摘し、毒物を扱うことを認識していたと見ている。

マレーシアの刑法には、過失致死と殺人に関する条文がある。当該行為が被害者を死に至らしめることは知りつつも、殺意がなかった場合は過失致死となり、懲役10年以下となるが、殺意があったと認められた場合には殺人となり、死刑が言い渡されることになる。

これに対して、ベトナムではドアン被告の救援のための資金集めが行われている。

資金集めの中心となっているホーチミン市の美容製品企業、HALグループのレ・ホアイ・アン氏はVOAの取材に、その理由について「ベトナム女性が必要な法的保護を受けられずにいるのは見たくないから」と述べた。

また、ハノイ外国貿易大学のグエン・ホアン・アン講師も「ベトナム政府は何もしていない」「彼女に接見したのはベトナム大使館の関係者だけで、彼女は非常に孤独で、混乱に陥っているだろう」と述べ、ドアン被告を救援するための資金を募っている。

2人は1万ドル(約114万円)以上の資金を確保し、ドアン被告の家族がマレーシアに行くための渡航費、滞在費、そしてドアン被告の弁護士費として使ってもらいたいとして、家族と協議を行っているとのことだ。

ベトナム社会でドアン被告の救援を求める声が高まっている背景には、ベトナム政府がこの事件に関して「何もしていない」との世論の批判があるとVOAは伝えている。

ベトナム政府は、ドアン被告の救援よりも、批判の声を押さえ込むことに熱心なようだ。

ドアン被告の父親のドアン・ヴァン・タインさんは、VOAの取材に戦争時の負傷のせいで歩くのが困難だとして、マレーシアには行きたくないと答えている。一方、現地の情報筋は、当局は彼にメディア、特に海外のメディアとの接触を避けるように「アドバイス」していると述べている。

一方、英国BBC(ベトナム語版)によると、ベトナム弁護士会のド・ゴク・ティン会長は、すでに5人の弁護士をマレーシアに派遣した。これに対しては、英語やマレー語に堪能でマレーシアの法律に精通した人を派遣すべきと、専門家からも疑問の声が上がっている。

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