WBC情報 キューバのプライドを切り裂いた侍ジャパン (2/2ページ)
「キューバを始め、中南米の野球ではナンバー1のリリーバーを、イニングに関係なく送り込むのが当たり前です。キューバベンチからすれば、この一打逆転という窮地にイエラを送ったのは当然であり、マルティ監督は勝負どころと判断したのでしょう」(米国人ライター)
キューバがこの試合に賭けていたと思われる場面はほかにも見られた。まず、このイエラが投入される直前だが、無死一・二塁で菊池涼介(27)が打席に向かうとき、キューバ内野陣はマウンドに集まり、守備体系を確認している。「日本の送りバント」にどう対応するかを話し合うためで、このシーンは、強打で大量得点を積み上げてきた以前のキューバでは絶対に見られなかった。また、この5回裏、4番筒香が打席に入ると、二遊間の守備位置を変えさせた。前の2打席で続けてセンター前ヒットを打たれているからだろう。二遊間の間を極端に狭め、筒香にプレッシャーを掛けていた。なりふり構わず…。
しかし、最後は侍ジャパンに逆転を許してしまった。8回裏の逆転劇も、思えば一塁手が送球をこぼしたところから始まった。些細なミスが失点につながったとなれば、野球王国のプライドもズタズタに切り裂かれたはずだ。
大会資料を見ると、MLBオールスター戦の出場経験者は63人。その一流プレーヤーが各国の代表チームに散らばっている。キューバの一強時代が終わり、トッププレーヤーが世界中に分散したのだろう。
中日ドラゴンズと育成契約を交わしたライデル・マルティネス(20)、年齢別カテゴリーから昇格してきたアビレスが中核となる次大会まで、キューバは王国再建の課題をどう克服してくるのだろうか。(スポーツライター・飯山満)