琵琶法師さんたちにマジ感謝!長く愛され続ける和楽器、三味線はこうして生まれた

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琵琶法師さんたちにマジ感謝!長く愛され続ける和楽器、三味線はこうして生まれた

日本には琴や笛などたくさんの楽器があります。その中でも特に音や形をイメージしやすいのは、三味線ではないでしょうか。

三味線は劇場音楽だけでなく津々浦々の民謡にも用いられている、日本人にとって最もポピュラーな楽器のひとつ。「調子三年」といわれ、まともにチューニングをするのでさえ三年もの修行が必要という大変難しい楽器でありながら、江戸時代の庶民の生活には欠かせない存在であったようです。そんな三味線の歴史について、紐解いてみたいと思います。

出典:The Metropolitan Museum of Art

三味線のルーツ

三味線の起源は13世紀ごろにまでさかのぼり、当時元の時代であった中国で使われていた三弦(サンシェン)という楽器がルーツとされています。ニシキヘビの皮で作られた楽器で、演劇の音楽や民謡などに使われていたのだそうです。

14世紀の終わりごろになると三弦(サンシェン)は中国から琉球王国へと渡り、現代のポピュラー音楽などにも取り入れられている三線(さんしん)へと発展してゆきます。

By Universidad Nacional de La Plata

この三線が本州の大坂・堺港に入ってくるのは16世紀のこと。桶狭間の戦いや川中島の戦いなどが繰り広げられていた時代です。もっと古くからあったような印象ですが、意外と新しい楽器です。

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大阪・堺で三線と琵琶法師が…出会った

堺港へ三線が渡ってきたとき輸入されたのは楽器のみで、演奏家とともに渡ってきたわけではありません。最初にこの三線を手にしたのは、三線と同じ弦楽器である琵琶の演奏家・琵琶法師たちでした。彼らは琵琶を基にしてより取り扱いやすいように改良を重ね、日本独自の「三味線」を作り上げてゆきます。

現代でもヘビの皮が用いられている三線(さんしん)ですが、当時の本州で楽器を作るために大きなヘビを捕まえるのはなかなか難しいことでした。そこで三味線には、身近な動物である犬や猫の皮が用いられるようになります。

「猫のけいこ」歌川国芳

さらに大きさにもひと工夫。木材を使い大きな胴へと作り替え、抱えずに膝に載せられるようになり、安定して弾けるようになりました。

奏法の変化でさらに表現力アップ

大きな改良は奏法にも現れます。ピックのような爪を指につけてつま弾く三線に対し、琵琶は撥(ばち)を用いて演奏します。琵琶法師たちはこの撥を三味線の演奏にも取り入れてみました。すると三味線の音はより大きくなり、リズムを刻むような表現も可能になります。

語りながら奏でる日本ならではの音楽表現にマッチするように音色も改良することで、日本人の好みにぴったりの楽器が完成。お座敷から劇場まで、さまざまな用途で日本全国へ急速に浸透し発展していったのです。

他の和楽器に比べてはるかに浅い歴史ながらも、さまざまな工夫が独自の魅力を生み、現代まで広く愛される楽器へと変貌を遂げた三味線。そんな歴史を思いながら演奏を聞くと、その音にいっそう愛着が湧いてくるようです。意外と身近に溢れている和楽器の音に、耳を傾けてみてくださいね。

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