賛否両論の「プロレス総選挙」が映した”ゴールデンタイムの幻” (2/2ページ)
■プロレスもプロ野球も「昭和」の遺物か?
プロレスファンがここまで熱くなった理由のひとつが、<29年ぶりにゴールデンタイムにプロレスが帰ってくる(注2)>予定だったから。ランキング1位の猪木、3位の初代タイガーマスクの時代には20%越えも珍しくなかったプロレス中継(注3)も、いつしか数字が取れなくなり、夕方や深夜に回されるようになって久しい(注4)。
ランキングにも反映されたが、現在の新日本プロレス(注5)は棚橋やオカダを中心に人気を回復。両国国技館や大阪城ホールといった大会場を何度も満杯にするくらい観客動員は好調だ。しかしテレビ中継に関しては思うようにいかない。
筆者はテレビ局の幹部に合うたび、「プロレスに力を入れて欲しい」と頼む。彼らによると、BS放送やネット配信、グッズ化など多角的に使えるアーカイブとしては高く評価するが、中継そのものを改善するつもりは無いという。
……実は今回、『プロレス総選挙』を深夜に追いやったプロ野球にしても程度は違えど、同じような構造を抱えている。
「WBCのような国際大会(注6)はいいが、普段のペナントレースはゴールデンタイムに値する視聴率は取れない(注7)。ウチが視聴率三冠を毎年のように取れているのは、プロ野球中継をほぼ外したのも大きな要因。いまや完全にBS・CS用のコンテンツです」(日本テレビ幹部)
プロレスやプロ野球の中継を家族で楽しみ、翌日の学校や職場で話題にする。確かにそれは、もはや昭和の幻かもしれない。しかし転用ありきで番組を作るテレビ局も、やがては闘魂を失い、王道を踏み外すのだろう。
(注1)プロレスファン…筆者も30年以上見ています。
(注2)29年ぶり…レギュラー放送の時間帯変更から。特番などは、その後もゴールデンタイムで放送された例はある。
(注3)20%を取ったプロレス中継…テレビ朝日(旧NET)の『ワールドプロレスリング』。
(注4) 深夜に回される…それでも唯一、テレビ朝日は放送を続けている。日本テレビ、TBS、テレビ東京はプロレスから撤退した。
(注5) 新日本プロレス…観客動員数において、一人勝ち状態。
(注6) 国際大会…WBCは日本や韓国のスポンサーに依存しているため、アジアで大会人気が落ちれば消滅の危機となる。
(注7) ゴールデンタイム視聴率…あくまでも広告指標となる関東地区の時間帯や視聴率を対象としている。
著者プロフィール

コンテンツプロデューサー
田中ねぃ
東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ