<不定期連載 壁を打ち破れ!~サンウルブズの挑戦>  上野裕一ジャパンエスアール会長が考える日本ラグビー未来像①

ラグビーリパブリック

若手メンバーで南アフリカ遠征に臨んだサンウルブズだったが、チームは大きな成長ぶりをみせた(撮影:出村謙知)

 はじめまして。

 ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズを運営する一般社団法人ジャパンエスアールで会長を務める上野裕一です。

 2月25日に東京・秩父宮ラグビー場に昨季のスーパーラグビー覇者であるハリケーンズを迎え、ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズとして2シーズン目の開幕を迎えることができました。

 快晴とはいえ、肌寒さも残る中、今年も1万7,533人という多くのお客さまにいらしていただきました。

 結果自体は17-83と、パワー、スキル、スピード、どれを取っても世界最高レベルと言っていいディフェンディングチャンピオンの前に大差で敗れてしまいましたが、サンウルブズのパフォーマンスも3トライを挙げるなど、シーズン中の成長に期待を抱かせる内容でもあったと思っています。

 実際、スーパーラグビーを統括するSANZAAR(南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチン各協会のジョイントベンチャー)が我々のパフォーマンスに対して求める基準も昨季の「コンペティティブ(競争力がある)」から、「エジリブル(的確な)」に変わっています。

 要は、昨シーズンの頑張りが評価され、スーパーラグビーで戦うチームとして、よりふさわしい存在になっているということです。

 その事実を証明するかのように、3月12、18日の南アフリカでの2試合のアウェー戦では、いずれも敗戦チームであるサンウルブズからマン・オブ・ザ・マッチが選ばれましたし、第3節のチーターズ戦では、昨季のアウェー戦で75点差をつけられた相手に対して、一進一退の試合を繰り広げました。終盤に逆転トライを奪われて力尽きたものの、サンウルブズとして初となるアウェー戦での勝ち点(7点差以内での敗戦に対するボーナスポイント)を挙げることもできました。

 しかも、南ア遠征でプレーした27人中15人は今季スーパーラグビーでデビューを果たした新顔ばかり。

 やや手前味噌ではありますが、我々サンウルブズの存在こそ2019年に向けて日本ラグビーを世界の中で成長させていく原動力であることは間違いありません。

 もちろん、それでも今季4節を終了して、まだ未勝利。そろそろ勝利という結果が必要ですし、間違いなくその日も近い。

 南アフリカ、そしてシンガポールからの映像を見て、日本の若い選手たちが世界のトッププレーヤーたちを向こうに回し、一歩も引かないプレーを続けていると感じたのは私だけではないでしょう。

 サンルウブズによる地殻変動は続いているのです。

 思い返せば、13か月前の2016年2月27日。我々サンウルブズのスーパーラグビーデビューを見届けようと熱心なラグビーファンの方々が秩父宮の客席を埋め、熱い応援をしてくれました。

 そのファンの方々の姿を見て、それまで重ねてきた全ての苦労が報われた思いになったものでした。

 私の人生の中でも最良の日となりました。

 サンウルブズは、壁を打ち破りながら、ここまで辿り着いたチームです。私自身、「2019年に向けてはこれしかない」との思いから、日本ラグビーを変革するチームのために、奔走し続けてきたわけですが、その過程においては筆致に尽くし難い困難を乗り越えてきたつもりです。

 それでも、あの昨年の開幕戦に集まっていただいたファンの熱狂が全ての苦労を吹き飛ばしてくれました。

 そんなファンのみなさんの期待に応えるために、これからもまだまだ壁を打ち破っていかないといけません。もちろん、ファンのみなさんと一緒にです。

 ここまではとにかく走り続けるのに必死で、サンウルブズが誕生するまでの苦難や、将来的に目指すものなどに関しては、正直あまり発信できてはいません。

 ファンのみなさんにも一緒に壁を打ち破る戦いに参加していただくためにも、サンウルブズがどのように生まれ、どうもがきながら、どこに行こうとしているのか、少しずつでも当連載にて熱く発信していこうと思っています。

ueno

<プロフィール>

上野裕一(うえの ゆういち)

ビジョンは I contribute to the world peace through the development of rugby.

1961年、山梨県出身。県立日川高校、日本体育大学出身。現役時代のポジションはSO。

同大大学院終了。オタゴ大客員研究員。流通経済大教授、同大ラグビー部監督、同CEOなどを歴任後、現在は同大学長補佐。在任中に弘前大学大学院医学研究科にて医学博士取得。

一般社団法人 ジャパンエスアール会長。アジア地域出身者では2人しかいないワールドラグビー「マスタートレーナー」(指導者養成者としての最高資格)も有する。

『ラグビー観戦メソッド 3つの遊びでスッキリわかる』(叢文社)など著書、共著、監修本など多数。

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