さあ一丁、ブワァーっと植木等だ!(3)弟子を理不尽に怒鳴らない (2/2ページ)

アサ芸プラス

僕も根はまじめな性格なので、自分の出番直前にスイッチを入れて『アダモちゃん』に吹っ切ったところはありました」

 さて植木は、クレージーのメンバーの中でも、谷啓と犬塚弘には特別に目をかけていた。クレージーとしての活動がほとんどなくなった時期も、舞台に専念していた犬塚の公演には必ず顔を見せたという。

「舞台が終わると楽屋にやって来て、僕の本名の『おい、ひろむ!』と呼んでから『最後のカーテンコール、あれはないぞ』と言うんです。お前が主役なんだから、もっと両手を広げて、右足を引いて、膝を曲げてお客さんにアピールしろと。あれを聞いた時『ああ、兄貴だ』と思ったね。いつでも僕のことを見てくれている愛情を感じた」

 3月23日で87歳になる犬塚は、植木の思い出を語りながら、こらえきれずに嗚咽を洩らす。激動の戦後芸能史を生きてきた者だけが知る絆がそこにある。

 そして20年の東京五輪を前に、植木の豪快な笑い声がイメージキャラクターとして、たびたびCMから流れてくる。特集上映や記念展示会も相次ぐなど、稀代のコメディアンの残像は、「さあ一丁、ブワァーッと」輝きを増すばかりである。

「さあ一丁、ブワァーっと植木等だ!(3)弟子を理不尽に怒鳴らない」のページです。デイリーニュースオンラインは、島崎俊郎小松政夫週刊アサヒ芸能 2017年 3/30号植木等付き人エンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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