悲劇的な展開に共感できず?「おんな城主 直虎」第12回は低迷12.9%
柴咲コウ(35)主演のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の第12回が26日に放送され、平均視聴率は前回から0.8ポイントダウンの12.9%となりました。今回は、松平元康(阿部サダヲ)との内通について申し開きするために今川家に出向いた井伊直親(三浦春馬)が、その途上で殺害されてしまう重い展開。直親の嫡男・虎松の命を救う代わりに戦ばたらきを命じられた井伊家は、大じじ様こと直平(前田吟)・重臣の中野直由(筧利夫)・今川の目付ながらも井伊家に尽くしてくれた新野左馬助(苅谷俊介)がことごとく戦場で死亡。今までもピンチ続きではあったものの、さらにジェットコースターのような勢いで存亡の危機に追い詰められていく井伊家が描かれました。
その一方で、こうした悲劇的な展開にそれほど入り込めなかったというのも事実。前回「帰ってきたら一緒になろう」と死亡フラグをビンビン立てていっただけに、あっさり死んでも「まあそうなりますよね」としか思えません。そもそも直親のキャラクターに愛着なり思い入れなりが湧いていれば良かったのでしょうが、思い付きで小野政次(高橋一生)に迷惑を掛けたり自分で決断しなかったり、妻も子供もいるのに次郎(柴咲コウ)にまだ思いがあるようなそぶりを見せたりと、結局さわやか系クズだったという印象しか持てませんでした。
今川家がダメになると見込んで松平によしみを通じておこうとの発想自体は良かったのに、今川からは裏切ったとみなされ、松平とは「別に助ける義理はない」と言われるほどの関係しか築けなかった政治力のなさも致命的。「ヘタを打ったのはあいつだ」と政次が言う通りです。直親の死を悼む次郎は彼の魂を自らのうちに宿して生きていくことを決意し、「戻ったら一緒になろうとは、かような意味だったのかもしれぬ」とつぶやきます。が、直親ってそんなに魅力的な人物ですかね……。いまひとつそこにも共感できません。次郎は「だめんず」に惹かれる女だったってことで納得しておきます。
さて、今回際立ったのが、あまりにもダークな人物に一変した政次。次郎にも千賀(財前直見)にも直親を裏切った張本人と疑われますが、特に言いわけするわけでもなく疑われっぱなし。というよりも、腹黒さを隠さない、むしろあえて悪く思われるように行動しているように見えます。前回見せた苦渋の涙とはまったくつながらないブラック政次には正直言って戸惑いが隠せません。
ただ、何の描写もなく政次の心情が変化したとしたら、あまりにも話が雑。そう考えると、当面は井伊家の人間をも欺くことが井伊家の利益につながると考えての深慮遠謀という可能性が強いですが、果たして真相はどうなのか。もしそうだったとしても、史実的にも作劇的にも次郎あらため直虎が政次の真意を理解するのは彼の死後であるような気がします。疑われたまま悪人として政次が死に、その後何かのきっかけで直虎は彼の忠義を知ることになり、人知れず涙を流す……というシーンは見てみたいですね。
次回からは、井伊家存亡を巡るもろもろのできごとが大きく動いていくことになりそうです。新たな出演者も続々登場するようで、楽しみが広がります。
文・中島千代