世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第216回 プライマリーバランスという呪縛 (2/3ページ)

週刊実話

PBが赤字になったとしても、国債金利が低く(今の日本は事実上のゼロ金利だ)、名目GDPが成長していれば、政府の負債対GDP比率は下がり、財政は健全化する。
 ところが、竹中氏が財政健全化目標にPBを持ち込んだことで、政府は政府の負債対GDP比率引き下げのための経済成長(GDP拡大)の追求ではなく、短期的なPB黒字化を目指すようになってしまった。
 短期的にPBを黒字化するためには、政府の支出を削減し、増税をするしかない。日本政府はPB黒字化にこだわるあまり、消費税を増税し、診療報酬や介護報酬、公共投資を減らす緊縮財政を繰り返し、デフレを長期化させた。

 誤解している人が少なくないが、安倍政権は緊縮政権である。しかも、かつての橋本龍太郎政権を超える「超・緊縮政権」なのだ。
 過去の日本政府のPBをグラフ化すると、下図(※本誌参照)の通りとなる。
 ちなみに2020年PB黒字化目標を最初に閣議決定したのは、2010年の菅直人政権である。当時は、世界的に「財政健全化」が重視され、G20において各国が財政目標を設置することが決定された。菅政権はG20の流れを受け、日本のデフレを深刻化させるPB目標を設定したのである。そして、自民党に政権交代した以降も、安倍政権はPB目標を破棄せず、毎年、閣議決定することを続けている。

 図の通り、安倍政権は'14年以降、着実にPBの赤字を縮小している。特に消費税を増税した'14年の赤字縮小幅は、対前年比10兆2831億円と史上最大である。
 金額で見る限り、安倍政権は文句なしで「日本史上最悪の緊縮政権」なのだ。
 むしろ、これだけの緊縮の中、日本経済がギリシャのように「GDP急収縮」の状況にならないことに驚かされる。デフレ下に「史上最悪の緊縮財政」を実施してすら、日本経済は何とか横ばいの状況を維持している。わが国の経済は、本当に頑健だ。

 それはともかく、実は現在の日本は主要先進国の中で最も「財政余力」がある。

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