ヘルシー志向が招く“オルトレキシア” 女性が注意したい新たな摂食障害
健康的にいつまでも若く、そして生き生きとしていたい思いは誰にでもあると思われます。
しかし、健康を望むあまり、健康に良いものだけを食べ続けていると、かえって栄養バランスを崩してしまう「オルトレキシア」といった状態を引き起こす危険があります。
今回は行きすぎた健康志向により
摂食障害に陥ってしまう「オルトレキシア」について、医師に詳しく解説していただきました。
オルトレキシアとは

健康的で自然な食事をしたいという考えから、体に悪いとされる成分が含まれている食品を避けようとするあまり、かえって栄養バランスが偏ってしまうような摂食障害を言います。
1997年に提唱された新しい概念で、 避けられる対象は、以下のような食品です。
・人工甘味料などの添加物
・残留農薬
・放射線
・グルテン
・遺伝子組み換え食品
・トランス脂肪酸
・糖質
・動物性食品
・加工食品
など
オルトレキシアが食べられる物と栄養価

農薬や化学肥料を使わず育てた、遺伝子組み換えでない農作物を指します。
オーガニックフードでなくても、残留農薬の濃度は一定の基準が定められており、基準値以下であれば問題ないという考え方と、少量であっても長年食べ続ければ健康被害につながるのではという考え方があり、結論は出ていません。
栄養価についても、オーガニックフードが優れているという報告と、変わらないという報告があるようです。
スーパーフード
体によくて健康に貢献するような栄養成分が、ほかの食品よりも多く含まれていて、低カロリーであるような植物性食品をスーパーフードと呼びます。
アミノ酸、ビタミン、ミネラル(鉄分やカルシウム)、食物繊維、不飽和脂肪酸、抗酸化物質などが豊富とされています。
スーパーフードは、以下のような食品があります。
■ マカ
9つの必須アミノ酸が多く含まれ、また、以下の栄養素を多く含んでいます。
・アルカロイド、デキストリン:陰茎動脈の血流を改善し勃起機能向上
・アルギニン:精子の生成を促進
・チロシン:集中力の向上
・ビタミンB群 : 疲労回復
■ チアシード
ビタミン、鉄分やカルシウム、マグネシウムといったミネラルや食物繊維が非常に豊富に含まれています。
豊富な食物繊維のおかげで、中性脂肪の高い人、 糖尿病や予備軍、 肥満や 高血圧のかた、 便秘症のかたは、改善の効果が期待できるといえます。
また「オメガ3系不飽和脂肪酸」という、血液中の中性脂肪を下げる働きのある栄養素も含まれています。
■ アサイー
アサイーのポリフェノールは、ブルーベリーの18倍と言われています。
抗酸化作用が高く、食物繊維や鉄分、カルシウムを豊富に含む、健康にはかかせない食物です。
また、鉄分はレバーの3倍とも言われていて、ジュースにして飲めば「 貧血に効果的な飲み物」として活躍します。
■ ココナッツ
ココナッツミルクには、活性酸素を抑える働きを持つ「トコトリエノール」や「ケトン体」を含んでおります。
また、中鎖脂肪酸を含む植物性のココナッツオイルは体内で燃えやすく、体脂肪がつきにくい特徴があります。
加熱料理に加えると美味しく仕上がりますので、1日大さじ1~2杯を目安に摂取するとよいでしょう。
最新のスーパーフード
■ テフ(TEFF)
1粒の大きさはわずか1mmのイネ科の穀物で、世界最小のスーパーフードと呼ばれています。
たんぱく質、鉄分、カルシウムなど豊富な栄養素が詰まっており、美肌効果、便歩予防、ダイエット効果が期待できます。
小麦と同じく、粉として利用できるため、小麦粉の代用食材として人気を集めています。
■ アカモク
東北地方でとれる海藻の一種で、ミネラルやポリフェノールを豊富に含んでいます。
アカモクに含まれるフコキサンチンには、抗 肥満効果があるとされ、他にも豊富なミネラルによって 骨粗しょう症予防にも効果があるといわれております。
ヴィーガン
ベジタリアンの中でも厳密な、植物性食品しか食べない完全菜食主義を指します。日本の寺で食べられている精進料理に近いものです。
ビタミン、ミネラル、タンパク質の不足による貧血や筋肉量低下、骨量低下に注意する必要があります。
オルトレキシアの原因

インターネットやSNSの普及で、個人の食事内容が公開されるようになったため、モデルや女優がどのようなものを食べているのかが分かり、ファッションだけでなく食事内容も憧れの対象となりました。
また、農薬・放射線・環境ホルモンなど、食の安全性について心配な点が多くなり、こだわりを持つ人が増えたこととも関係しているかもしれません。 オルトレキシアの人が足りない栄養素

人がどのようなこだわりを持ち、どの程度の栄養知識を持っているかによりますが、脂肪、タンパク質、ミネラルが不足したり、カロリーが足りないことも考えられます。
タンパク質の不足
肉を食べないので栄養が偏りやすく、タンパク質が不足しがちです。
血管壁などがボロボロになりやすく、 脳卒中などのリスクにつながります。
塩分過多
サラダなど生野菜を多く摂ると同時にドレッシングなどをかけることで、塩分を過剰に摂取してしまう可能性があります。
また、玄米菜食の場合は必要なエネルギー源はごはんです。ごはんは味噌汁や漬物など塩分の比較的多いおかずを一緒に摂ることもあり、塩分過多を助長します。
結果、血圧の上昇を引き起こす要因になり得ます。
ビタミンBの不足
肉類をはじめ、動物性タンパク質をまったく口にしないビーガン(完全菜食主義者)の場合、ビタミンBが不足することで、まれに痺れや神経障害などを引き起こすと報告されています。 オルトレキシアによって懸念される疾患リスク

貧血
貧血 とは、血液中のヘモグロビン量が基準値よりも下回った状態のことです。 女性は比較的貧血になりやすいと言われていますが、これは生理や妊娠などにより体内の鉄分を失う量が多いためです。
男性で貧血になる人は、身体のどこかに異常がある可能性もあるため、早めに専門の病院に見てもらう必要があります。
骨量低下、骨粗しょう症
骨粗しょう症 とは、骨の中がスカスカの状態になってしまい、骨強度が低下して骨折しやすくなる骨の病気です。ほんの少しの衝撃で骨折してしまうことがあります。
発症しやすい世代は、閉経を迎えた50代以降の女性や高齢者ですが、偏食や極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒、運動習慣などの関係で若年者でも発症します。
また、服用している薬や以下のような特定の病気が原因となって、発症する場合もあります。
・副甲状腺機能亢進症
・ 関節リウマチ
・ 動脈硬化
・腎臓の異常や機能低下が続く病気のCKD( 慢性腎臓病)、
・ 慢性気管支炎
・肺気腫
・ COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・ 糖尿病
など
その他の疾患リスク
・筋肉量低下
・痩せ オルトレキシアになりやすい人の特徴

■ 真面目でいったん決めたことは守りたい、こだわりや思い込みが強い
■ 美や健康に対して関心が高い
■ 決めたことを外れることに対する恐怖心が強い
■ 聞いた情報に対して自分で評価して情報を取捨選択することができない オルトレキシアを改善する方法

はっきりした治療方針は決まっていませんが、一つの意見に対してそれに反対する意見もあること、全てもののにはメリットとデメリットがあることなど、を考えたり他の人と食について意見交換することが有効かもしれません。 過食、拒食が苦しい…摂食障害に関するご相談例

相談1:過食嘔吐を辞める方法はないでしょうか?
■ 相談者(26歳/女性)
2年前から過食嘔吐を繰り返ししていて悩んでいます。
元旦那との ストレス発散で食べるようになり、太りたくかったのもあり、吐いたら体重も増えないのでするようになりました。 イライラすると食べてしまいます。
辞めたいのに、一度スイッチが入ってしまうと止まらなくなります。精神科にも3件相談に行きましたが、過食嘔吐で精神科に来たの?みたいな対応で、 不眠症だからと言って精神科の方で薬を処方してもらい、今は食べたくなったら睡眠薬を飲んで寝たりしています。
何か過食嘔吐を辞める方法はないのでしょうか?
■ 医師からの回答
摂食障害を認めているようですね。 摂食障害は意志だけの問題ではないですよ。 自分の力で改善するのは困難な病態です。
ストレスが関与していたようなので、規則正しい生活、十分な睡眠・休養、アロマを炊いたり、心の落ち着く音楽を聞いたり、足湯をしたりなどリラクゼーションを行ったり、気分転換を行ったりされた方が良いでしょう。
摂食障害については、摂食障害を専門に見ている精神科もあります。 そちらへの受診を検討されてはどうでしょうか。
探し方が分からない、近くにあるか分からないということであれば、精神保健福祉センターや役所の医療相談窓口などで相談して頂けると思います。
相談2:睡眠関連摂食障害の対策は何ですか
■ 相談者(25歳/男性)
睡眠関連摂食障害の対策は何ですか。
数カ月、寝ている間に無意識で飲食をしています、高カロリーな栄養に悪い物ばかりです。
体重が2週間で5kg増えました。どうしたらよいのでしょうか。
■ 医師からの回答
睡眠関連摂食障害の治療には、まず夢遊病を治す必要があります。
夢遊病には、一過性のものと慢性的なものがありまずが、どちらも薬(抗うつ薬・抗てんかん薬など)を投与する治療方法が主です。
しかし薬には、どうしても副作用がありますから一番の治療法はストレスを解消する事とされています。
例えば、寝る前にヒーリング音楽を聞いたり、アロマを焚いてみたり、旅行に行ってみたり、友達と話してみたり。
心配ごとが絶えない時は、カウンセリングを受けるなど、とにかく気持ちを楽にしてあげることが大切です。
相談3:今、摂食障害であまり食事が取れていません
■ 相談者(43歳/女性)
今、摂食障害であまり食事が取れていません。
元々、ステロイドを飲んでいて、糖尿病になりインスリンの注射をしていましたが、今は血糖が低い為インスリンは打ってません。
インスリンを打たなくても、血糖が60とかに下がる事が良くあるのですが、それは何故でしょうか?
■ 医師からの回答
おそらく、摂食障害をお持ちで、食事が必要量とれていないため 低血糖になっているのではないかと思いますよ。
最後に医師から一言

食にこだわるあまり、かえって行動を制限したり健康を害したりして、その人のためにならないとしたら残念です。
過剰なこだわりを貫こうとすると、人と楽しく食事しにくくなったり、仕事上の会食もできなくなるなど社会生活にも制限が出る可能性があります。
ご自身の行動が行き過ぎではないかを一度考えてみるのもよいかと思います。
(監修:Doctors Me 医師)