世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第217回 グローバリズムのトリニティ(前編) (2/3ページ)

週刊実話


 '04年の大学法人化以降、わが国の大学予算は切り詰められていき、教授は「短期の成果」を求められることになった。各地の大学は人員が不足し、研究者が研究に没頭できないありさまになってしまった。緊縮財政により、教授や研究者たちは論文を書くどころではない状況に追い詰められているのだ。

 緊縮財政が日本の技術力を停滞させ、外国の「高度人材」に対するニーズを高めた。結果的に、技術についてまで「外国依存」が進んでいるのがわが国だ。緊縮財政が技術力を弱体化させ、ヒトの移動という「自由貿易」を推進している。
 同じ話が公共サービス関連でも言える。自由貿易と規制緩和は、これは似通った話だ。国境という規制を緩和し、モノ、ヒト、カネの移動を自由化するのが「自由貿易」だが、国内で各種の規制を緩和するのが規制緩和になる。TPPが「自由貿易」であり、農協改革は「規制緩和」に該当する。両者ともに政府のパワーを小さくし、ビジネスを自由化するという点では発想が同じだ。
 なぜ、そこに「緊縮財政」が加わるのか。緊縮財政あるいは「財政破綻論」のまん延なしでは、公共サービス等の自由化、民営化が実現できないためだ。
 緊縮財政政策を推進したとしても、行政、水道、鉄道、空港、年金、医療、公共インフラ建設等の「公共サービス」は、国民に提供する必要がある。公共サービスは、たとえ経済がデフレ化し、極度の不況に陥ったとしても供給されなければならないサービスなのだ。

 財政が悪化している。とはいえ、公共サービスは提供しなければならない。だからこその民営化である。というレトリックで民間のビジネスが生まれる。
 行政は「公務員給与を減らせ!」と言う、ルサンチマン(強者への嫉妬の意)にまみれた国民の声に応え、職員を派遣社員に切り替える。日本で言えば、パソナをはじめとする派遣会社がもうかる。
 水道や地下鉄、空港はコンセッション方式で民営化。実際、浜松の下水道がフランスのヴェオリアを中心とする民間企業に委託されると報じられている。また、大阪の地下鉄も民営化。東日本大震災という「ショック」を利用し、仙台空港も民営化。
 年金は、財政破綻論に絡めて年金不安をあおり、民間企業(外資含む)の年金保険にスイッチさせる。
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