秋津壽男“どっち?”の健康学「深夜勤務で不眠症になったらどうする?睡眠導入剤の服用は期限を決めればOK」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

慢性的な不眠症は意外と少なく、そのうち睡眠導入剤に頼らずとも済むようになるでしょう。

 なお、睡眠薬には「文字どおりの睡眠薬」の他に「抗不安薬」があります。抗不安薬とは不安や緊張を和らげる薬で、日常生活に多大な支障を来すような不安障害があると処方されます。眠いのだけれども、心配事や不安事で頭が冴えて寝られない、という人には、睡眠薬よりも抗不安薬のほうが適しています。

 ただし、抗不安薬を飲んだからといって確実に寝られるわけではありません。例えば朝や昼に飲んでも、心の不安を取るだけで眠くはなりません。「考え事や不安事があって寝られない」という人の「不安要素」を取り除くのが主な効果であるため、体はクタクタなのに緊張や不安で寝られない、というケースで用いる薬です。

 ただし、強い副作用もあります。例えば代表的な薬であるデパスは、強い抗不安作用と筋弛緩作用があり、心身をリラックスさせる効果がある反面、抗不安効果が強く半減期も短いため依存症になりやすく、催眠作用からふらつくため転倒や骨折の原因ともなります。なお、薬局で売っている睡眠薬は、医学的に見ると睡眠薬でもなければ睡眠導入剤でもなく風邪薬です。本当の睡眠薬は効果がてきめんなので、市販は絶対にできないのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「深夜勤務で不眠症になったらどうする?睡眠導入剤の服用は期限を決めればOK」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2017年 4/20号“どっち?”の健康学秋津壽男睡眠導入剤睡眠カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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