保健師になるには? 仕事内容や試験、資格について知ろう

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みなさんは「保健師」という仕事をご存じでしょうか。あまり一般的ではないかもしれませんが、医療職に分類される国家資格の一つです。その職能で活躍できる場が広いということで注目の資格でもあります。今回は保健師になるにはどうすればいいのか、仕事内容や試験、資格までをご紹介します。

■「保健師」の仕事とは?

「保健師」の仕事は「健康を保持できるように人を教育・指導すること」です。保健師はその活躍する場によって、

1.行政保健師
2.産業保健師
3.学校保健師
4.病院保健師

に大別されます。1の「行政保健師」は、保健所や保健センターなどに勤務し、各都道府県、市区町村などの「保健行政に携わる保健師」です。2の「産業保健師」は、行政ではなく民間企業の「産業保険スタッフとして働く保健師」です。3の「学校保健師」は、学校など教育施設に務める保健師です。また保健師は病院の検診センターで働くことも多く、これが「病院保健師」です。

それぞれの場、例えば企業なら従業員を、学校なら教職員や生徒を、健康でいられるように教育・指導するのが保健師の仕事というわけです。具体的には、健康診断や予防注射などの実施を行います。ちなみに保健師では行政保健師が最も多く、その比率は全体の約6割だそうです。

■「保健師」は国家資格! しかも「看護師」の資格も必要

保健師の位置づけが法律上はどうなっているかというと、『保健師助産師看護師法』によって規定されています。「この法律は保健師、助産師及び看護師の資質を向上し、もつて医療及び公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする」を第一条とする法律ですが、その第二条に、

「『保健師』とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう」

となっています。

⇒データ出典:『保健師助産師看護師法』
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO203.html

つまり保健師は国家資格で、保健師と名乗って働くためには、国家試験に合格して厚生労働大臣から免許を授与されなければなりません。ただし、その免許について、

第七条 保健師になろうとする者は、保健師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。

という規定があるのです。つまり、保健師国家試験に合格するだけでは駄目で、看護師国家試験にも合格しないといけません。まず、保健師国家試験の受験資格を見てますと下のようになっています。

●「保健師国家試験」の受験資格

第十九条 保健師国家試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、これを受けることができない。

一 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校において一年以上保健師になるのに必要な学科を修めた者
二 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、都道府県知事の指定した保健師養成所を卒業した者
三 外国の第二条に規定する業務に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国において保健師免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの
※『保健師助産師看護師法』第十九条

三項は外国で……という話なので、ほとんどの日本人が関係ありませんが、要は「国の認める学校」で1年以上保健師になる勉強をして、養成所を卒業した人が受験できる、というわけです。

次に、看護師国家試験の受験資格を見てみましょう。

●「看護師国家試験」の受験資格

第二十一条  看護師国家試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、これを受けることができない。

一 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。第四号において同じ。)において看護師になるのに必要な学科を修めて卒業した者
二 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校において三年以上看護師になるのに必要な学科を修めた者
三 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、都道府県知事の指定した看護師養成所を卒業した者
四 免許を得た後三年以上業務に従事している准看護師又は学校教育法 に基づく高等学校若しくは中等教育学校を卒業している准看護師で前三号に規定する大学、学校又は養成所において二年以上修業したもの
五 外国の第五条に規定する業務に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国において看護師免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が第一号から第三号までに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの
※『保健師助産師看護師法』第二十一条

要は、国の認める大学・学校、また看護師養成所において必要な教育を修了した人が受験できるというわけです。一般的に看護師になるためには3年以上の教育を修了するのが普通ですので、看護師の免許を取得するだけでもかなりの難関です。保健師の免許を取るには、さらに保健師国家試験もクリアしないといけません。

■「保健師」になるにはどんなフローを歩むの?

保健師になるためのフローをまとめてみましょう。

<パターン1>
高校卒業

公的に認定された「看護師専門学校・短大」などを修了

看護師国家試験に合格

保健師養成学校を修了

保健師国家試験に合格

<パターン2>

高校卒業

公的に認定された「大学の看護学科(4年制)・看護専門学校(4年制)」などを修了

看護師国家試験合格・保健師国家試験合格

最近では「保健師」までの一連の流れまでを教育課程に盛り込んだ学校も増えています。また、看護師国家試験を合格してからしか保健師国家試験を受けられないわけではありませんので、例えば「保健師指定養成校」の認可を受けた看護大学では、卒業するタイミングでその両方の試験を受けて合格し「看護師」「保健師」、両方の免許を取得するのを推奨していたりします。

保健師になるにはどうすればいいかについて解説しました。看護師よりも活躍の場が広いと言われ、「保健師」の人気は高いようです。国家試験を2つクリアしないといけないという面倒くささはありますが、それでも目指す人が多いのは「行政保健師」「産業保健師」といった働き方に人気があるためなのでしょうね。

(高橋モータース@dcp)

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