ビートたけしの金言集「黙って説明に耳を傾ける殿の“聞く力”」 (1/2ページ)
数年前に大ベストセラーとなったご本「聞く力」。わたくし、この本を書店で見かけると、決まって殿のことを思い浮かべます。
日々、テレビやら映画やらその他やらで、恐ろしい数の打ち合わせを次から次へとこなしている殿は、人の話を実によく聞きます。今回はそんな殿の“聞く力”について──。
まず殿は基本、若いADだろうと、殿を前にしての緊張から、説明が取っ散らかっているディレクターであろうと、口を挟むことなく、渡された資料や台本をじっくりと読み込みながら、黙って説明をお聞きになります。そして、全ての説明を聞き終わった後に、御自分の意見をゆっくりと述べるのです。殿は以前、
「その道のプロに会ったら、知ったかぶらずにどんどん聞くんだよ。知ってることでも知らないフリをして改めて聞くと、知らない事実が出てきたりして楽しいんだから。とにかくまずは聞くの」
と、若手に語っていたことがありました。
が、そこは殿です。ただ聞いてるだけでは終わりません。その昔、ある特番の打ち合わせがあり、いつもどおり静かに聞き入り、実に“大人な”打ち合わせを終えた殿は、楽屋でわたくしと2人っきりになるとすぐ、
「おい。さっきの中に怪しい奴いたな」
と、指摘してきたのです。この時、殿がおっしゃる「怪しい」の意味がよくわからず、「は~」と、気のない返事を返すと、殿はすかさず、
「カツラだよ!」
と、“お前は気付かなかったのか!勘の悪いやつだ”的なトーンにて食いぎみにツッコんできたのです。しかしカツラが見破られずに叱られる師弟関係って!
殿はいきなり現れた弟子入り志願者の話まで、じっくりと聞かれたりします。
数年前の冬、仕事終わりで食事会があり、殿に同行する形で、車から店までのわずかな距離を歩いていると、いきなりリュックを背負った若者が殿の前に現れ、「たたた、たけしさん、ネタを書いてきました。ででで、弟子にしてください!」と、興奮ぎみにノートを差し出してきたのです。