中村獅童さんが公表した“初期の肺腺がん” 症状と治療法は?

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2017年5月18日、歌舞伎俳優の中村獅童さんが早期の「肺腺がん」であることを公表されました。( 参考)

肺がんにはいくつか種類があり、それぞれ特徴があるようです。

中でも今回は、肺腺がんとはどういうものなのか、症状や治療内容についてなど、医師に詳しく解説していただきました。 肺がんの種類
肺がんには肺や気管支の上皮細胞(空気と触れ合うところ)から発生するがんと、他の臓器のがんが転移する場合があります。

転移以外の主な肺がんの種類
・扁平上皮がん
・腺がん
・大細胞がん
・小細胞がん

この中で小細胞がんはもっともたちが悪く、治療に対する成績も違うので、特別扱いし、それ以外の3種類を「非小細胞がん」と呼ぶこともあります。 肺腺がんとは
腺がんは肺がんの約6割を占め、日本では4種類の中では最も多く見られます。

なぜ腺がんと呼ぶかというと、顕微鏡でがん組織を見てみると、粘液を出す腺組織と似た構造をしているからです。

実際、がん細胞が粘液を放出するので、痰が増えます。他のタイプに比べて遠くの臓器に転移することが少なく、予後は良い傾向があります。 肺腺がんの原因
肺腺がんについては特徴的な原因は知られていません。

そもそも我々の体内では毎日がん細胞ができていますが、免疫系ががん細胞をみつけて廃棄してくれています。

その為、増殖が途中で止まり、画像検査や血液検査で分かるほどには大きくならないうちに治っているのだと言われています。

一般的にがんが起こる原因
細胞が分裂する際に遺伝子がコピーされるのですが、そのコピーに間違いが起こることで、細胞が無制限に増殖する性質を持ってしまうことだとされています。

コピーに間違いを起こす原因としては、紫外線、放射線、発がん性物質(タバコやアスベストを含む)、その他様々ありますが、特にこれをしたからがんになったということがはっきりしていないことがほとんどです。

子宮頸がんや肝臓がんの原因
子宮頸がんはHPVというウイルス感染がきっかけになり、 肝臓がんの一部は B型肝炎ウイルスや C型肝炎ウイルスが原因になっています。 肺腺がんは女性に多い?
特に女性では腺がんが多い傾向にあります。逆に男性で多いのは扁平上皮がんです。

肺腺がんの特徴は、非喫煙者の女性にも多く見られると言われています。

ただ、夫が喫煙者だと、妻は受動喫煙することになり、受動喫煙しない女性に比べて肺腺がんになるリスクは2倍になるとされています。

(参考: 予防健康グループ) 肺腺がんの症状
咳や痰が増えたり、痰に血が混じることもありますが、がんができる場所によっては無症状です。

初期症状
・特に息苦しさや痛みは生じない
・呼吸音の聴診をしても特に異常はない
・微熱
・全身のだるさ
・体重が減る

職場の健康診断や人間ドックで胸のレントゲンやCTを撮影することで見つかることがあります。
また、たまたま別の目的で撮影したレントゲンに異常な影が映って発見されることもあります。

■ がんが口に近い部分
・空気の通り道をせき止めてしまい、息苦しく感じる
・聴診すると呼吸音がゼーゼーヒューヒューと異常な音になる

■ がんが口から遠い、肺のはしに近い部分
・息苦しさはない
・胸膜(肺の外側を覆う膜)に刺激を与え、胸の痛みを感じる

中期症状
大きくなったがんのために周囲の神経が圧迫され症状がでてきます。

・腕のしびれ
・声枯れを起こす
・腕がむくむ
・心臓の周り、肺の周辺に水がたまる
・指先が太鼓のばちのように丸くなる「ばち指」が見られることがある

末期症状
抵抗力や体力が落ちたり、周囲の血管や臓器を巻き込んだりして命を落とすこともあります。 肺腺がんの検査内容
レントゲンやCTで肺がんを疑った場合
■ 痰検査
痰を取ってその中にがん細胞が見つかるかどうかを調べます。

■ 気管支鏡
気管支鏡という胃カメラのような器具を肺に入れてがんを観察します。

■ 細胞検査
細胞を一部取って肺がんの種類を特定する

血液検査
血液中にはがん細胞が作る特殊な物質が流れ出すことがあり、血液検査で腫瘍マーカーを調べることで、種類の推定ができることもあります。

CTやMRI
他の臓器に転移がないか、リンパ節に腫れがないかをCTやMRIで調べることで、TNM分類という進行度の分類を行い、I期からⅣ期までのステージ分類を行い、治療方針を決めます。 肺腺がんの治療内容
遠くのリンパ節や、肺以外の臓器への転移がある場合、手術はせず、放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)を行いながら、体の苦しさ・つらさを取る治療を行います。 肺腺がんの手術内容
リンパ節転移があってもわずかであり、転移もない場合は、手術を行います。場合によっては術後に放射線治療や化学療法を行うこともあります。

手術では肺や転移のあるリンパ節を切り取りますが、肋骨の間に指の太さぐらいの器具を複数本差し込んで行う胸腔鏡下手術が多く行われています。

カメラや照明がついた器具で観察しながら、他の医師が先にピンセットやメスのついた器具を操作し、病巣を取り除くという手術です。 肺腺がんの生存率
がんの大きさが3㎝以下で、リンパ節の転移がない場合、手術後の5年生存率は70〜80%程度です。

肺以外の臓器に転移があるⅣ期だと、5年生存率は15%程度になります。(※1)
最後に医師から一言
緑黄色野菜に含まれるベータカロテン(カロチン)は、ニンジンの赤色のもとになっている天然色素で、食事で摂ることでがんのリスクを減らすことができます。

ただ、サプリメントでベータカロテンを摂取しすぎると、肺がんになりやすくなると言われています 。(※2)

特に喫煙者はその傾向が強いと言われていますので、サプリメントにベータカロテンが含まれていないか確認が必要です。

(監修:Doctors Me 医師)

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